通所リハビリテーションにおける介護者の介護負担感に関する調査

【目的】  通所リハビリテーション(以下、通所リハ)の役割には、利用者に対する支援と共に家族の介護負担の軽減が求められる。介護者の介護負担感には、様々な関連要因があり、なかでも利用者の日常生活活動(以下、ADL)は、介護負担と相関するという報告が多い。しかし維持期の通所リハでは、ADLの改善には限界がある。そこで本研究では、維持期における介護者の介護負担感と利用者のADLの関係、その他介護負担に関連する要因について調査したので報告する。 【方法】  対象は、通所リハ利用者の介護者57名(男性15名、女性42名、平均年齢64.5±10.9歳)とした。通所リハ利用者については、利用者の属性(年齢、...

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Published in九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 Vol. 2007; p. 106
Main Authors 高橋, 宏輔, 西島, 博満, 吉武, 雄誠, 川崎, 紀子, 本田, 千絵子, 奥本, 碧, 満行, 由理, 浜里, 裕美, 加藤, 久子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州理学療法士・作業療法士合同学会 2007
Joint Congress of Physical Therapist and Occupational Therapist in Kyushu
Subjects
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ISSN0915-2032
2423-8899
DOI10.11496/kyushuptot.2007.0.106.0

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Summary:【目的】  通所リハビリテーション(以下、通所リハ)の役割には、利用者に対する支援と共に家族の介護負担の軽減が求められる。介護者の介護負担感には、様々な関連要因があり、なかでも利用者の日常生活活動(以下、ADL)は、介護負担と相関するという報告が多い。しかし維持期の通所リハでは、ADLの改善には限界がある。そこで本研究では、維持期における介護者の介護負担感と利用者のADLの関係、その他介護負担に関連する要因について調査したので報告する。 【方法】  対象は、通所リハ利用者の介護者57名(男性15名、女性42名、平均年齢64.5±10.9歳)とした。通所リハ利用者については、利用者の属性(年齢、性別、疾患名)、要介護度、ADL、介護サービスの利用状況、介護者については、主介護者の属性(年齢、性別、続柄)、介護期間、仕事の有無、睡眠不足の有無を調査した。通所リハ利用者のADLは、機能的自立度評価法(以下、FIM)を用い、介護者の介護負担感はZarit介護負担尺度日本語版(以下、ZBI)を用いて評価した。分析は、介護負担感とADLとの関連性はSpearmanの順位相関係数を用い、その他の要因は、ZBI総合点を40点以上の負担が重い群と39点以下の軽い群に分け、カイ二乗検定、Mann-Whitney検定を用いて比較検討した。 【結果】  1.ZBI総合点とFIM総合点(r=-0.40,p<0.01)、FIM運動項目(r=-0.34,p<0.05)、FIM認知項目(r=-0.37,p<0.05)は、いずれも弱い負の相関を認めた。2.介護負担の重い群と軽い群では、介護者の睡眠不足の有無で有意差を認め(p<0.05)、睡眠不足のある群と無い群では、FIM総合点(U=208.0)、FIM運動項目(U=203.5)で有意差を認めた(p<0.01)。その他の要因については有意差を認められなかった。 【考察】  介護者の介護負担感は、介護者の属性や介護期間などに関係なく、利用者のADL能力が高いほど、介護負担感は低い傾向が確認できた。ADLの低下は、介護者の睡眠が障害される原因の一つであるが、通所リハにおけるADLの改善には限界があり、今後は、介護者への積極的なアプローチが必要である。
Bibliography:167
ISSN:0915-2032
2423-8899
DOI:10.11496/kyushuptot.2007.0.106.0