病棟看護師が脳死下臓器提供対応時の負担感軽減のために必要とする支援についての検討

【目的】本邦では脳死下臓器提供件数が少ないため、看護師の事例対応経験も稀である。そのため、病棟看護師は様々な負担を抱いていると推定される。本研究では、脳死下臓器提供事例に対応する病棟看護師の負担感軽減のための支援ニーズを明らかにし、病棟看護師に対する適切な支援体制を検討することである。【方法】2015年~2020年に複数回脳死下臓器提供を実施した67施設のうち、協力の得られた34施設の脳死下臓器提供事例発生病棟に勤務する看護師873名に対し、無記名自記式質問紙調査を2021年に実施した。【結果】293名から回答を得た(回収率34%、有効回答率100%)。脳死下臓器提供の一連のプロセスにおいて過...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s286_1
Main Authors 長谷川, 綾子, 朝居, 朋子, 田崎, あゆみ, 中村, 小百合
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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Summary:【目的】本邦では脳死下臓器提供件数が少ないため、看護師の事例対応経験も稀である。そのため、病棟看護師は様々な負担を抱いていると推定される。本研究では、脳死下臓器提供事例に対応する病棟看護師の負担感軽減のための支援ニーズを明らかにし、病棟看護師に対する適切な支援体制を検討することである。【方法】2015年~2020年に複数回脳死下臓器提供を実施した67施設のうち、協力の得られた34施設の脳死下臓器提供事例発生病棟に勤務する看護師873名に対し、無記名自記式質問紙調査を2021年に実施した。【結果】293名から回答を得た(回収率34%、有効回答率100%)。脳死下臓器提供の一連のプロセスにおいて過半数の病棟看護師が負担感を抱いていた。その理由は、知識・経験不足が最も多く、時間的制約・多職種連携に関する項目も挙げられた。負担感軽減に対する支援については、全項目で回答者の80%以上が支援を必要としていた。参加したい研修は、全項目で60%以上が参加したいと回答した。事例対応経験の有無、院内コーディネーター設置の有無により必要とする支援に違いが生じた。【考察】病棟看護師は全項目において負担感軽減のための支援を必要としていた。院内コーディネーターの設置、知識・経験不足をカバーする研修の開催等の必要性が示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s286_1