イオン交換膜電極の選択特性

イオン交換基を感応素子とするイオン選択性電極(ISE)において,そのイオン交換基とは逆電荷のイオン交換基を微量添加して固定するとISEの選択特性が著しく改善される.この傾向は,電荷数の多い妨害イオンほど,又拡散定数の小さい妨害イオンほど顕著である.例えば,第4級アンモニウム基を感応素子とする塩化物イオン選択性電極(Cl--ISE)では,感応膜にスルホン酸基を適量固定することによって,SO42-の選択係数が0.30から0.006に改善できた.一方,この種のISEの電位応答には,界面電位が平衡に達するまでの過程において,水和イオンの電極界面での複雑な移動現象が関与することを考察した.又各妨害イオン...

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Published in分析化学 Vol. 31; no. 7; pp. 396 - 401
Main Authors 岡, 正太郎, 田原, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 1982
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ISSN0525-1931
DOI10.2116/bunsekikagaku.31.7_396

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Summary:イオン交換基を感応素子とするイオン選択性電極(ISE)において,そのイオン交換基とは逆電荷のイオン交換基を微量添加して固定するとISEの選択特性が著しく改善される.この傾向は,電荷数の多い妨害イオンほど,又拡散定数の小さい妨害イオンほど顕著である.例えば,第4級アンモニウム基を感応素子とする塩化物イオン選択性電極(Cl--ISE)では,感応膜にスルホン酸基を適量固定することによって,SO42-の選択係数が0.30から0.006に改善できた.一方,この種のISEの電位応答には,界面電位が平衡に達するまでの過程において,水和イオンの電極界面での複雑な移動現象が関与することを考察した.又各妨害イオンの拡散定数とそれらの水和エントロピーとの積が,選択係数の対数と直線的関係にあり,逆電荷イオン交換基の添加によって,その直線関係の傾斜が増加することを実験的に確かめた.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.31.7_396