ABO血液型不一致・生体腎移植後にPassenger Lymphocyte Syndromeを発症した1例
【症例】66歳男性。【現病歴】腎硬化症・IgA腎症による末期腎不全のため1年前から腹膜透析導入となった。ドナーの血液型はO型、レシピエントの血液型はB型の、ABO血液型不一致・生体腎移植術を施行した。術後経過は良好で、術後16日目に退院となった。しかし退院後4日目に倦怠感を主訴に外来受診。採血で著明な貧血を認めており、精査加療目的に入院となった。【経過】B型の輸血を行おうとしたところ、検査科より主試験で凝集を認めるとの連絡が入った。精査を行ったところ血清LDHの上昇、総ビリルビン値の上昇、ハプトグロビンの低下、直接クームス試験陽性、抗B抗体陽性を認めたため、Passenger Lymphocy...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s244_1 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s244_1 |
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Summary: | 【症例】66歳男性。【現病歴】腎硬化症・IgA腎症による末期腎不全のため1年前から腹膜透析導入となった。ドナーの血液型はO型、レシピエントの血液型はB型の、ABO血液型不一致・生体腎移植術を施行した。術後経過は良好で、術後16日目に退院となった。しかし退院後4日目に倦怠感を主訴に外来受診。採血で著明な貧血を認めており、精査加療目的に入院となった。【経過】B型の輸血を行おうとしたところ、検査科より主試験で凝集を認めるとの連絡が入った。精査を行ったところ血清LDHの上昇、総ビリルビン値の上昇、ハプトグロビンの低下、直接クームス試験陽性、抗B抗体陽性を認めたため、Passenger Lymphocyte Syndrome(PLS)と診断した。O型の洗浄赤血球を2日間にわたり合計8単位輸血した。貧血の増悪がなくなり、検査所見が改善傾向となったため再入院後11日目に退院となった。【考察】PLSは固形臓器移植や造血幹細胞移植における合併症の1つであり、移植片対宿主病(Graft Versus Host Disease: GVHD)の亜型に分類される症候群である。稀ではあるが、移植後の貧血の原因としてPLSを考慮する必要があると思われ、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s244_1 |