臨床の現場から移植コーディネーション学へ ~大学院教育の意義

移植医療、すなわち臓器・組織提供、臓器・組織移植の実施には移植コーディネーター(以下Co)の存在が必須である。課題の一つとして移植Coの量的・質的不足があげられるが、質的向上には多様な状況に対応する能力、その基礎となる「移植コーディネーション学」を習得する事が必要と考える。本学では、2016年4月、藤田医科大学大学院保健学研究科看護学領域臓器移植コーディネート分野を全国に先駆け開講し、「移植コーディネーション学」習得の為のプログラムを作成した。医療現場では専門職の細分化が進んでいる現状があり、移植Coの役割としてチーム医療遂行の為の相互理解と連携が重要である。基礎的知識として、医学・看護学的知...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s139_1
Main Authors 明石, 優美, 朝居, 朋子, 剣持, 敬
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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Summary:移植医療、すなわち臓器・組織提供、臓器・組織移植の実施には移植コーディネーター(以下Co)の存在が必須である。課題の一つとして移植Coの量的・質的不足があげられるが、質的向上には多様な状況に対応する能力、その基礎となる「移植コーディネーション学」を習得する事が必要と考える。本学では、2016年4月、藤田医科大学大学院保健学研究科看護学領域臓器移植コーディネート分野を全国に先駆け開講し、「移植コーディネーション学」習得の為のプログラムを作成した。医療現場では専門職の細分化が進んでいる現状があり、移植Coの役割としてチーム医療遂行の為の相互理解と連携が重要である。基礎的知識として、医学・看護学的知識、法律・倫理的知識等を体系的に履修した後、臓器・組織移植の各専門領域、関連領域における最新の知見や理論を学ぶ。これらを土台とし、演習・実習を通し、臓器・組織移植コーディネーションの臨床実践能力を修得する。これまでに13名が学位を取得し、医療施設にて高度専門職業人、指導的人材として活躍している。学問としての「移植コーディネーション学」とは、基礎的・専門的知識に裏付けられた高度な学力をコーディネーションに適切に応用する実践力を身につける事である。「移植コーディネーション学」の確立は、Coの質の向上・標準化、Coの資格化の推進、ひいては移植医療の質向上と発展につながる。大学院教育について報告し、今後の展望を述べる。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s139_1