自己腎動静脈瘻に対し移植後にTAEを施行した生体腎移植レシピエントの一例

【症例】49歳女性【経過】38歳時に原疾患IgA腎症による末期腎不全に対して、母をドナーとする先行的生体腎移植目的で入院。移植直前の造影CTにて径1.2cmの左自己腎動静脈瘻を認めた。35歳時(前医)の経皮的自己腎生検後に腎周囲血種を認め、その際に腎動静脈瘻も併発したと考えられた。予定通り右腸骨窩腎移植術を行い、左自己腎動静脈瘻については慎重に経過観察することにした。毎年単純CT・腹部エコーでフォローし、術後11年(49歳)で径4.6cmまで拡大した。シャント血流増大に伴う心不全や瘤破裂のリスクを考え、患者と相談し低侵襲な経カテーテル的動脈塞栓(TAE)を行うことになり、動静脈瘻の動脈側をコイ...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s335_3
Main Authors 若井, 幸子, 亀井, 唯子, 別府, 寛子, 川西, 智子, 白川, 浩希, 石渡, 亜由美, 阿部, 恭知, 小川, ひな, 遠藤, 真理子, 遠藤, 健二, 小川, 俊江, 中村, 優希, 小野原, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s335_3

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Summary:【症例】49歳女性【経過】38歳時に原疾患IgA腎症による末期腎不全に対して、母をドナーとする先行的生体腎移植目的で入院。移植直前の造影CTにて径1.2cmの左自己腎動静脈瘻を認めた。35歳時(前医)の経皮的自己腎生検後に腎周囲血種を認め、その際に腎動静脈瘻も併発したと考えられた。予定通り右腸骨窩腎移植術を行い、左自己腎動静脈瘻については慎重に経過観察することにした。毎年単純CT・腹部エコーでフォローし、術後11年(49歳)で径4.6cmまで拡大した。シャント血流増大に伴う心不全や瘤破裂のリスクを考え、患者と相談し低侵襲な経カテーテル的動脈塞栓(TAE)を行うことになり、動静脈瘻の動脈側をコイル塞栓した。術後1日目の造影CTで左腎静脈血栓を認めたため、速やかにヘパリンによる抗凝固療法を開始した。術後5日目の造影CTで血栓消失を確認しヘパリンは終了したが、腎静脈拡張は残存していたため血栓予防目的にてエドキサバンを開始し退院となった。【結語】腎移植後、自己腎血流量は低下するが、本症例のように自己腎動静脈瘻が拡大する症例もあり注意が必要である。若干の文献的考察とあわせて報告する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s335_3