Metforminが肝臓内NK細胞活性を増強する

【目的】近年、肝細胞癌を含めた様々な癌種でMetforminの抗腫瘍効果が明らかにされている。当科では肝臓内免疫の中で 肝臓内NK細胞が発現するTRAILの肝細胞癌に対する高い抗腫瘍効果を報告してきた。本研究の目的は、Metforminが肝臓内NK細胞のTRAIL活性に与える影響を明らかにすることである。【方法】1.野生型マウス(B6 WT)に、Metforminを腹腔内投与し、flow cytometry(FCM)法で肝臓内NK細胞活性評価及び肝癌細胞株(Hep1-6)に対する細胞傷害性試験を比較検討した。2.B6 WTで肝切除モデル、Hep1-6を用いた腫瘍モデルを作成し、肝切除後Metf...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s234_1
Main Authors 田中, 友加, 田原, 裕之, 別木, 智昭, 佐藤, 沙希, 今岡, 祐輝, 井手, 健太郎, 長ヶ原, 一也, 坂井, 寛, 今岡, 洸輝, 中野, 亮介, 大平, 真裕, 大段, 秀樹, 小林, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s234_1

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Summary:【目的】近年、肝細胞癌を含めた様々な癌種でMetforminの抗腫瘍効果が明らかにされている。当科では肝臓内免疫の中で 肝臓内NK細胞が発現するTRAILの肝細胞癌に対する高い抗腫瘍効果を報告してきた。本研究の目的は、Metforminが肝臓内NK細胞のTRAIL活性に与える影響を明らかにすることである。【方法】1.野生型マウス(B6 WT)に、Metforminを腹腔内投与し、flow cytometry(FCM)法で肝臓内NK細胞活性評価及び肝癌細胞株(Hep1-6)に対する細胞傷害性試験を比較検討した。2.B6 WTで肝切除モデル、Hep1-6を用いた腫瘍モデルを作成し、肝切除後Metformin投与の肝臓内NK細胞活性に与える影響と抗腫瘍効果を評価した。3.Metformin投与が肝実質、肝臓内NK細胞に与える遺伝子発現の変化をマイクロアレイで網羅的に解析した。【結果】1.Control群と比較して、Metformin投与群は肝臓内NK細胞のTRAIL発現 が有意に増加し、細胞傷害性が有意に高かった。2.肝切除後のMetformin投与で、TRAIL発現が高値を示し、Hep1-6の占拠率が低下した。3.Metformin投与で、肝臓内NK細胞のTNFSF10(TRAILの上流遺伝子)の発現が増加した。肝実質で、肝臓内NK細胞のTRAIL発現を増強する因子として報告されているHSP70の遺伝子発現が増加し、qPCRでmRNAの発現が有意に増加していた。【結論】Metformin投与が肝実質のHSP70発現を増強し、肝臓内NK細胞のTRAIL活性や、抗腫瘍効果を高めている可能性が示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s234_1