高齢化する生体腎移植ドナーと腎予後の検討

生体腎移植患者のうち70歳以上の高齢ドナーが占める割合は年々増加している。高齢ドナーは高血圧、耐糖能障害等の生活習慣病の合併も多くドナー適応も含め判断に迷うことが少なくない。今回は高齢ドナーに着目し術前の腎機能評価、術前後の腎機能の変化に与える因子(含む腎生検)を検討する。2012年-2016年に当院で生体腎移植を施行したドナーのうち術後1年以上腎機能をフォローできた304名を対象に術後腎機能推移、0時間腎生検の病理組織についてドナー年齢との関連を検討した。平均年齢は59.4±9.6歳、男性107名(35%)、高齢ドナーは38名(13%)。高齢ドナーでは非高齢ドナーと比較し移植時に高血圧(45...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s170_2
Main Authors 海上, 耕平, 八木澤, 隆史, 高木, 敏男, 北島, 久視子, 石田, 英樹, 大木, 里花子, 神澤, 太一, 尾本, 和也, 星野, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s170_2

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Summary:生体腎移植患者のうち70歳以上の高齢ドナーが占める割合は年々増加している。高齢ドナーは高血圧、耐糖能障害等の生活習慣病の合併も多くドナー適応も含め判断に迷うことが少なくない。今回は高齢ドナーに着目し術前の腎機能評価、術前後の腎機能の変化に与える因子(含む腎生検)を検討する。2012年-2016年に当院で生体腎移植を施行したドナーのうち術後1年以上腎機能をフォローできた304名を対象に術後腎機能推移、0時間腎生検の病理組織についてドナー年齢との関連を検討した。平均年齢は59.4±9.6歳、男性107名(35%)、高齢ドナーは38名(13%)。高齢ドナーでは非高齢ドナーと比較し移植時に高血圧(45% vs 21%, p<0.01)および脂質異常症(42% vs 20%, p<0.01)の割合が高かった。またベースラインのeGFRが低く(平均値69.6vs77.6, p<0.01)、0時間生検では糸球体の硬化割合(16%vs10%, p<0.01)、間質10%以上の線維化保有率(55%vs21%,p<0.01)、小葉間動脈の中等度内膜肥厚保有率(49%vs27%,p<0.01)が有意に高かった。高齢ドナー、ベースラインeGFRは術後5年時点でのCKDstage3b以下と関連したが、その一方で術後1年-5年の平均ΔeGFRについては高齢、非高齢ドナーで有意差は認めなかった。高齢ドナーは腎提供時のeGFRが低く術後5年でのCKDstage3b以下への進展が懸念されるが、低いながらも術後腎機能は非高齢ドナーと変わらず維持されうる。以上を踏まえ、高齢ドナーにおけるドナー適応評価について考察、報告を行う。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s170_2