de novo DSA早期診断のためのT細胞受容体レパトア解析
【背景】 慢性抗体関連型拒絶反応は、de novo DSA検出時には既に難治性であることも多い。免疫状態を知ることのできるTCRレパトア(TCR repertoire)解析は、生体内免疫モニタリングや、疾患関連リンパ球の同定に使用されている。TCR repertoire解析により、de novo DSA産生を先行的に予測できないか検討した。【対象と方法】 de novo DSA 産生が確認された腎移植患者3名を対象に以下の検討を行った。移植前・de novo DSA産生時・その1年後のポイントで、末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells; PBMC)を...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s350_3 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s350_3 |
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Summary: | 【背景】 慢性抗体関連型拒絶反応は、de novo DSA検出時には既に難治性であることも多い。免疫状態を知ることのできるTCRレパトア(TCR repertoire)解析は、生体内免疫モニタリングや、疾患関連リンパ球の同定に使用されている。TCR repertoire解析により、de novo DSA産生を先行的に予測できないか検討した。【対象と方法】 de novo DSA 産生が確認された腎移植患者3名を対象に以下の検討を行った。移植前・de novo DSA産生時・その1年後のポイントで、末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells; PBMC)を用いてドナーPBMCとのリンパ球混合培養(mixed lymphocyte reaction; MLR)を行なった。CD4/CD8に分離し、それぞれのTCR repertoire解析を次世代シークエンスで行った。【結果】 発現率1%以上を対象にMLR時に高発現となるTCRのうち、移植前に存在せず、de novo DSA産生時・その1年後のポイントに存在したCD4 TCRが数種類認められた。3名のDSAのターゲットは同じDQB1*03:01であったが、TCR repertoireは全く異なっていた。CD8は移植前検体から検出されるドナー応答性TCRがde novo DSA産生時・その1年後のポイントでも確認された。【結語】 DSA産生は濾胞性CD4 T細胞の関与が重要ではあるが、direct pathwayで反応するCD8 T細胞の関与も考えられ、移植前から検出できる可能性が示唆された。CD4 TCRは移植前検体とde novo DSA産生時の検体では異なっていた。Direct pathwayが主であるMLRだけでなくindirect pathwayを検知する実験系を用い、その比較検討が今後は重要である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s350_3 |