移植後非結核性抗酸菌症治療中にCOVID-19を発症した一例

症例は70代男性、1999年頃から肺尖部に結節影を認め、気管支鏡検査の結果陳旧性肺結核と診断された。2008年、B型肝炎による肝硬変に対し肝移植が実施された。2011年、外来にて経過観察中胸部CTで肺尖部の結節影増大を認めたため気管支鏡検査を行ったところ、非結核性抗酸菌症と診断とされ、内服薬3剤による治療が開始された。2017年治療は終了となったが、2019年肺尖部結節影の増大を認めたため、治療が再開された。2022年、COVID-19を発症した。入院後抗ウイルス薬とデキサメサゾン投与による治療が開始されたが、HFNC40L45%を必要とするまで呼吸状態は悪化した。徐々に呼吸状態は改善したが、...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s260_2
Main Authors 津川, 大介, 外山, 博近, 小松, 昇平, 福本, 巧, 南野, 佳英, 福島, 健司, 宗, 慎一, 後藤, 直大, 木戸, 正浩, 権, 英寿, 浦出, 剛史, 小泉, 宣, 蔵満, 薫, 浅利, 貞毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s260_2

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Summary:症例は70代男性、1999年頃から肺尖部に結節影を認め、気管支鏡検査の結果陳旧性肺結核と診断された。2008年、B型肝炎による肝硬変に対し肝移植が実施された。2011年、外来にて経過観察中胸部CTで肺尖部の結節影増大を認めたため気管支鏡検査を行ったところ、非結核性抗酸菌症と診断とされ、内服薬3剤による治療が開始された。2017年治療は終了となったが、2019年肺尖部結節影の増大を認めたため、治療が再開された。2022年、COVID-19を発症した。入院後抗ウイルス薬とデキサメサゾン投与による治療が開始されたが、HFNC40L45%を必要とするまで呼吸状態は悪化した。徐々に呼吸状態は改善したが、器質化肺炎を合併し、ステロイド導入を必要とした。長期リハビリ入院を必要としたが、高額なHBIGを定期的に投与可能な施設はなく、当施設で3ヶ月入院の後在宅療養に移行した。日本移植学会からの報告によると、2022年5月30日現在644名のCOVID-19累積患者が存在し、うち24名が死亡している事から死亡率は3.7%であり、厚生労働省からの報告による一般人口死亡率0.3%の10倍高い。重症化したCOVID-19患者は治療終了後一般病院での治療継続が可能であるが、本症例は定期的なB型肝炎治療薬の投与が必須であり、移植後長期経過例ではあったが転院先はなかった。入院病床が逼迫する状況下でこのような症例が再度発症した際にいかにして病診連携を行なっていくかが今後の課題である。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s260_2