羊膜由来幹細胞と膵島の門脈内共移植による移植後膵島生着促進の試み
【背景】膵島移植は1型糖尿病に対する低侵襲かつ有効性の高い治療法として普及することが期待されている。しかし、膵島量や移植後早期膵島障害の問題からインスリン離脱には複数回の移植を要することが多く、生着率向上が喫緊の課題である。我々はヒト羊膜由来幹細胞の1つであるヒト羊膜上皮細胞(hAEC)との共移植による膵島生着率の向上を目的とし、1型糖尿病モデルラット共移植実験を行っており、これまでの結果を報告する。【方法】Lewisラットへ移植7-8日前にstreptozotocinにて糖尿病を誘導し、Wister-STラットより分離した4000 IEQsの同種異系膵島を単独(単独群:n=5)、あるいはhA...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s347_3 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s347_3 |
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Summary: | 【背景】膵島移植は1型糖尿病に対する低侵襲かつ有効性の高い治療法として普及することが期待されている。しかし、膵島量や移植後早期膵島障害の問題からインスリン離脱には複数回の移植を要することが多く、生着率向上が喫緊の課題である。我々はヒト羊膜由来幹細胞の1つであるヒト羊膜上皮細胞(hAEC)との共移植による膵島生着率の向上を目的とし、1型糖尿病モデルラット共移植実験を行っており、これまでの結果を報告する。【方法】Lewisラットへ移植7-8日前にstreptozotocinにて糖尿病を誘導し、Wister-STラットより分離した4000 IEQsの同種異系膵島を単独(単独群:n=5)、あるいはhAEC 1x106個と混和し(共移植群:n=6)、経門脈的に移植した。移植後、随時血糖の推移を評価した。【結果】共移植群では、移植後の血糖正常化期間が単独群と比較し有意に遷延した(p= 0.05)。しかし、共移植群においても血糖は次第に再上昇し、膵島の長期生着は確認されなかった。【結語】同種異系共移植モデルでは、1型糖尿病の治癒にまで至ることはできなかった。しかし、共移植群においてグラフト生着の延長傾向を認め、膵島の早期障害を一時的に抑制している可能性が考えられた。本結果を踏まえ、今後同種同系共移植モデルとの対比を通し、hAECが自然免疫及び獲得免疫へ及ぼす影響の詳細を検証していく予定である。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s347_3 |