心内膜側, 心外膜側心筋の不応期, 局所電位幅, 心筋血流量におよぼすI, II, III群抗不整脈薬の影響―イヌ急性虚血心における検討

イヌ急性虚血心で, I群薬disopyramide (DP) (n=14) , II群薬aropranolol (PR) (n=12) , III群薬M5-551 (MS) (n=14) , 対照 (生理的食塩水投与) (n=10) の電気生理学的性質, 血流量への影響を心内膜側と心外膜側心筋で検討した.麻酔後, 冠結紮前, 冠結紮15分後, 薬剤投与後に不応期, 局所電位幅, 血流量を測定した.冠結紮後, 自然ないし不応期測定中に心室頻拍/細動の発生した17頭は統計解析から除外した.DP群 (n=9) ; DP後, 不応期は虚血域 (I) , 正常域 (N) で延長したがI心外膜側の延長が大...

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Published in心電図 Vol. 17; no. 6; pp. 711 - 723
Main Authors 岩元, 智超, 田辺, 晃久, 楠崎, 滋, 臼井, 和胤, 半田, 俊之介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 1997
日本心電学会
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Summary:イヌ急性虚血心で, I群薬disopyramide (DP) (n=14) , II群薬aropranolol (PR) (n=12) , III群薬M5-551 (MS) (n=14) , 対照 (生理的食塩水投与) (n=10) の電気生理学的性質, 血流量への影響を心内膜側と心外膜側心筋で検討した.麻酔後, 冠結紮前, 冠結紮15分後, 薬剤投与後に不応期, 局所電位幅, 血流量を測定した.冠結紮後, 自然ないし不応期測定中に心室頻拍/細動の発生した17頭は統計解析から除外した.DP群 (n=9) ; DP後, 不応期は虚血域 (I) , 正常域 (N) で延長したがI心外膜側の延長が大きかったため心内膜側 (ENDO) ―心外膜側 (EPI) 間差は拡大した (p<0.Ol) .局所電位幅はI, Nで延長した (p<0.05-0.01) が, Iで遅延が著明なためI-N間差が拡大した (ENDO, EPI各p<0.01) .血流量はDP後, I, NのENDO, EPIともさらに減少した (各p<0.05) が両層間に差はなかった.PR群 (n=8) ; PR後, 不応期はIでEPIの延長がENDOより大であったためEND0-EPI間差 (p<0.05) が, また, ENDOではI-N間差も生じた (p<0.05) .局所電位幅延長は対照と同程度で, 血流量はI, NのENDOとEPI双方同程度に低下した (各p<0.05) .MS群 (n=10) ; MS後, 不応期はIとNそれぞれENDOとEPIで延長し, I-N間, ENDO-EPI間差は縮小した.局所電位幅は虚血域で対照と同程度延長し, 血流量への影響はなかった. 以上より, MSはDP, PRに比べ虚血心筋, 正常心筋における心内膜側, 心外膜側心筋の伝導性, 血流量への影響は軽微で, 虚血―正常域間不応期間差, 心内膜側―心外膜側間不応期差は少なかった.DP, PRの虚血域心内膜側―心外膜側心筋間不応期差は両層の血流量差によるものではなかった.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.17.711