皮下膵島移植における不織布構造ゼラチン基材の前留置期間が移植結果へ及ぼす影響

【背景】皮下膵島移植は低侵襲であり種々の利点を備えているが、実用化には新生血管床の構築や細胞外マトリックス(ECM)の補填等による移植環境の至適化が必須である。我々は、不織布構造ゼラチン基材(gelatin hydrogel nonwoven fabric; GHNF)の前留置により、皮下膵島移植のグラフト生着が門脈移植を凌駕することを報告してきた。【目的】GHNFの前留置期間が皮下膵島移植の成績へ及ぼす影響を検討した。【方法】C57BL/6マウスの皮下に、2枚のGHNFの間にスペーサーとしてシリコンを挟んで留置した。GHNFの前留置期間により、2週間(2W群、n=11)、4週間(4W群、n=...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s312_2
Main Authors 亀井, 尚, 稲垣, 明子, 後藤, 昌史, 宮城, 重人, 田畑, 泰彦, 中村, 保宏, 海野, 倫明, 齊藤, 竜助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s312_2

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Summary:【背景】皮下膵島移植は低侵襲であり種々の利点を備えているが、実用化には新生血管床の構築や細胞外マトリックス(ECM)の補填等による移植環境の至適化が必須である。我々は、不織布構造ゼラチン基材(gelatin hydrogel nonwoven fabric; GHNF)の前留置により、皮下膵島移植のグラフト生着が門脈移植を凌駕することを報告してきた。【目的】GHNFの前留置期間が皮下膵島移植の成績へ及ぼす影響を検討した。【方法】C57BL/6マウスの皮下に、2枚のGHNFの間にスペーサーとしてシリコンを挟んで留置した。GHNFの前留置期間により、2週間(2W群、n=11)、4週間(4W群、n=16)、6週間(6W群、n=15)、8週間(8W群、n=13)の4群を設定した。移植7日前に糖尿病を誘導後、270 IEQsの同種同系膵島移植を行った。移植後、血糖値、糖負荷試験、膵島グラフト及び皮下組織の免疫組織化学染色を行った。【結果】各群の移植後60日における糖尿病治癒率は、それぞれ2W群 0%、4W群62.5%、6W群62.5%、8W群20%であったが(p=0.04)、移植後の血糖値の推移は、6W群が他の群と比べ有意に良好であった(p<0.01)。移植部位では、新生血管数が6W群で有意に高値を示し(p<0.05)、ECMも経時的に増加する傾向が確認された。【結語】GHNFを前留置することで皮下膵島移植は門脈移植の成績を凌駕し、その最適な前留置期間は6週間である。前留置期間による移植効率の違いは、ECMの増生と新生血管のバランスに起因すると推察された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s312_2