マウス皮膚移植モデルを用いた移植後早期に流入するgraft infiltrating lymphocytesの免疫学的役割の解析

背景:移植後早期に流入する graft infiltrating lymphocytes (GILs) は免疫寛容に重要だが、詳細な免疫学的役割は不明である。目的:マウス皮膚移植を用いて早期GILsの役割を明らかにする。方法:1. C57BL/6(B6)の皮膚を採取しBALB/cに移植した。移植後3、5、7日目に移植片からGILsを抽出し、BALB/c Rag2-/- IL-2Rg-/-(BRG)マウスに移入し、再構築後B6皮膚を移植した。2. B6からBALB/cへの皮膚移植後3、5、7日目に移植片を採取し、BRGマウスに再移植した。結果:1. 5または7日目の移植片から抽出したGILsを再...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s239_1
Main Authors 金沢, 亮, 後藤, 了一, 原田, 拓弥, 太田, 拓児, 巖築, 慶一, 渡辺, 正明, Agustina, Forgioni, 川村, 典夫, 嶋村, 剛, 武冨, 紹信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:背景:移植後早期に流入する graft infiltrating lymphocytes (GILs) は免疫寛容に重要だが、詳細な免疫学的役割は不明である。目的:マウス皮膚移植を用いて早期GILsの役割を明らかにする。方法:1. C57BL/6(B6)の皮膚を採取しBALB/cに移植した。移植後3、5、7日目に移植片からGILsを抽出し、BALB/c Rag2-/- IL-2Rg-/-(BRG)マウスに移入し、再構築後B6皮膚を移植した。2. B6からBALB/cへの皮膚移植後3、5、7日目に移植片を採取し、BRGマウスに再移植した。結果:1. 5または7日目の移植片から抽出したGILsを再構築させたBRG マウスにB6移植片を移植すると全例拒絶された。3日目の移植片からGILsを抽出してBRGマウスに再構築させB6皮膚を移植すると全例長期生着した。2. 7日目に移植片を採取し再移植すると全例移植片は拒絶された。5日目に採取し再移植した移植片は半数が長期生着し、3日目に採取し再移植した移植片は高頻度で長期生着した。3日目移植片を再移植したBRGマウスにαCD25抗体を投与し制御性T細胞の除去を行ったが、移植片の拒絶は促進されなかった。また3日目の移植片のグラフト保護効果を確認する目的で、BALB/c脾細胞をBRGマウスに移入し、3日目に採取した移植片を移植したが、グラフト保護効果は認めなかった。結論:GILsの免疫学的役割は移植後の時間経過に依存して変化する。移植後3日目までのGILsは移植片に対する保護能力を有していない。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s239_1