多発性嚢胞腎症に対する腎移植時の後腹膜アプローチによる鏡視下自己腎摘出術症例の検討
【緒言】常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の腎移植において、感染や疼痛、嚢胞内出血により管理困難な場合に加え、移植腎スペースの確保が見込めない時にも自己腎摘出術が必要となるが、近年は後腹膜アプローチによる鏡視下自己腎摘出術の報告がある。当施設でも移植時に後腹膜鏡下腎摘出術を取り入れているので、その術式や手術成績を評価することで有用性を検討し報告する。【対象・方法】当施設における過去10年間で腎移植を行なったADPKD患者は24症例で、そのうち開放腎摘出術は8症例(右7、左1)で、剣状突起から下腹部までの正中切開が3例、腰部斜切開が5例であった。後腹膜鏡下腎摘出術は6症例(全て右)であり、4...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s258_3 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s258_3 |
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Summary: | 【緒言】常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の腎移植において、感染や疼痛、嚢胞内出血により管理困難な場合に加え、移植腎スペースの確保が見込めない時にも自己腎摘出術が必要となるが、近年は後腹膜アプローチによる鏡視下自己腎摘出術の報告がある。当施設でも移植時に後腹膜鏡下腎摘出術を取り入れているので、その術式や手術成績を評価することで有用性を検討し報告する。【対象・方法】当施設における過去10年間で腎移植を行なったADPKD患者は24症例で、そのうち開放腎摘出術は8症例(右7、左1)で、剣状突起から下腹部までの正中切開が3例、腰部斜切開が5例であった。後腹膜鏡下腎摘出術は6症例(全て右)であり、4ポートを使用した操作で傍腹直筋切開による摘出であった。【結果】摘出腎重量の平均は開放と後腹膜鏡それぞれ1682g(1340-2300g)と1242g(812-2469g)、手術時間の平均は431分(286-523分)と431分(360-519分)、出血量(嚢胞穿破による嚢胞液を含む)の平均は2850g(60-11030g)と449g(812-2469g)であり、鏡視下から開放へ移行した症例はなかった。【結語】当術式は後腹膜腔の拡張により術野を改善し、主に副腎周囲に於いて安全に剥離を進めることができる。また、移植創を摘出創に重ねることができるため、患者の負担を軽減することができる。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s258_3 |