立地条件を考慮した環境保全型砂防事業の実態分析

土砂災害の防止だけでなく河川環境の保全をも目的とした環境保全型砂防事業を合理的に進めるためには,保全対象となる環境の構造を明確な定義に基づいて評価する必要がある。本研究では,既往文献のレビューによる河川環境の構造的把握とこれまでの環境保全型砂防事業の資料分析による実態と課題の解明を試みた。その結果,河川環境はその内容から防災・生態系・景観.親水性・レクリエーション機能・地域振興の6つの環境要素に分類することができ,これらが立地条件に応じた必要度や形態を持って組み合わされることによって河川環境を構成していると考えられた。このような定義に基づいた既往事業の分析の結果,これまでの環境保全型砂防事業に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in森林応用研究 Vol. 7; pp. 139 - 142
Main Authors 黒田, 美恵子, 三好, 岩生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 応用森林学会 1998
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:土砂災害の防止だけでなく河川環境の保全をも目的とした環境保全型砂防事業を合理的に進めるためには,保全対象となる環境の構造を明確な定義に基づいて評価する必要がある。本研究では,既往文献のレビューによる河川環境の構造的把握とこれまでの環境保全型砂防事業の資料分析による実態と課題の解明を試みた。その結果,河川環境はその内容から防災・生態系・景観.親水性・レクリエーション機能・地域振興の6つの環境要素に分類することができ,これらが立地条件に応じた必要度や形態を持って組み合わされることによって河川環境を構成していると考えられた。このような定義に基づいた既往事業の分析の結果,これまでの環境保全型砂防事業において各環境要素が保全対象として設定される頻度と立地条件の間に一応の関係が見られた。しかし,保全対象となる環境要素やその内容には画一的な傾向も見られ,保全すべき環境に対する評価が十分でないという課題が示され,合理的な評価手法を確立する必要性が示唆された。
ISSN:1342-9493
2189-8294
DOI:10.20660/applfor.7.0_139