“めまい”患者に対する聴性脳幹反応(ABR)

末梢性めまい患者14名, 中枢性めまい患者16名の計30名に対し聴性脳幹反応を施行し, その検査法の意義につき検討し, 次の結果を得た. 1) 末梢性めまい患者のうち4名でI-III波間隔の延長が両側性にみられた. 2)小 脳橋角部腫瘍(聴神経腫瘍を除く)では, 患側耳刺激ABRでI波のみを認め, 健側と著明な相違を認めた. 3) 脳幹部梗塞では両側性にII波以降の振幅減少を認めた. 4) 多発性硬化症では, 振幅の減少が病巣の局在に応じて見られるが, 各反応潜時延長(I波を除く)が特徴と思われた. 5) 小脳・延髄疾患では橋部への影響がないとABRに異常は出現しにくい. 6) 病気の寛解につ...

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Published in医療 Vol. 37; no. 2; pp. 198 - 203
Main Authors 池田, 美智子, 小名, 愛, 〓, 忠彦, 大塚, 護, 脇, 幾久子, 和田, 翠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 01.02.1983
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.37.198

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Summary:末梢性めまい患者14名, 中枢性めまい患者16名の計30名に対し聴性脳幹反応を施行し, その検査法の意義につき検討し, 次の結果を得た. 1) 末梢性めまい患者のうち4名でI-III波間隔の延長が両側性にみられた. 2)小 脳橋角部腫瘍(聴神経腫瘍を除く)では, 患側耳刺激ABRでI波のみを認め, 健側と著明な相違を認めた. 3) 脳幹部梗塞では両側性にII波以降の振幅減少を認めた. 4) 多発性硬化症では, 振幅の減少が病巣の局在に応じて見られるが, 各反応潜時延長(I波を除く)が特徴と思われた. 5) 小脳・延髄疾患では橋部への影響がないとABRに異常は出現しにくい. 6) 病気の寛解につれ, ABRの異常所見も改善する例がある.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.37.198