当科における臓器移植後の帯状疱疹について

【背景】移植患者は免疫抑制下のため,帯状疱疹の発症リスクは高い.当科における移植後帯状疱疹(PTS)について検討した.【方法】2012年-2023年4月までの腎移植160例,膵移植86例で, PTSの患者背景,発症頻度,治療期間について検討した.【結果】術前ヘルペス抗体価の平均は未発症例で40.5±40.8,発症例32.7±35.7と有意な差を認めなかった. PTS は37例(15.0%)に発症し,Rit投与68例中12例(17.6%),非投与178例中24例(13.6%),ATG投与17例中1例(5.9%),Basiliximab投与228例中36例(15.8%)の発症と,抗体製剤の使用によ...

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Published in移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s317_3
Main Authors 栗原, 啓, 剣持, 敬, 伊藤, 泰平, 會田, 直弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
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Summary:【背景】移植患者は免疫抑制下のため,帯状疱疹の発症リスクは高い.当科における移植後帯状疱疹(PTS)について検討した.【方法】2012年-2023年4月までの腎移植160例,膵移植86例で, PTSの患者背景,発症頻度,治療期間について検討した.【結果】術前ヘルペス抗体価の平均は未発症例で40.5±40.8,発症例32.7±35.7と有意な差を認めなかった. PTS は37例(15.0%)に発症し,Rit投与68例中12例(17.6%),非投与178例中24例(13.6%),ATG投与17例中1例(5.9%),Basiliximab投与228例中36例(15.8%)の発症と,抗体製剤の使用による有意な差を認めなかった.発症者の平均年齢, 発症までの平均期間, 平均治療期間はそれぞれ,腎移植56.8±13.9歳, 879.4±853.5日,14.8±6.1日に対し,膵移植では51.3±4.1歳,1347.1±776.6日, 13.7±5.2日と術式による差を認めなかった.【結語】当科のPTSの発症率は15％と比較的高く,ヘルペス抗体価,抗体製剤の使用歴,術式などの患者背景に差を認めなかった.発症リスク因子は明らかでなく,移植患者が摂取可能な乾燥組換え帯状疱疹ワクチンは高価であるため,少なくとも助成が受けられる50歳以上では,積極的なワクチン接種を全例行うべきであると考えられた.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s317_3