トルイジンブルー超生染による癌診断 耳鼻咽喉科領域への応用

トルイジンブルー超生染による癌診断法(以下「Tテスト」と略す)は1963年Richart1)が子宮頚癌に実施して95%以上の陽性率を得て以来, 信頼性の高い癌補助診断法として評価され, 近時各科領域において応用されている. 2)4)~7)トルイジンブルー(Toluidine blue O)は核酸に親和性を有する異染性色素(Metachromatic dye)で, 核酸密度の高い悪性上皮を濃紫青色に染める. この特性を利用したTテストは肉眼的にまだ判別困難な早期の癌病巣を鋭敏に捉え, またその範囲を明瞭に画き出すことにより, 特に早期癌診断に有用な検査法といえる. 一方, Tテストにより切除さる...

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Published in医療 Vol. 26; no. 9; pp. 765 - 768
Main Authors 小山, 高司, 村上, 元正, 浮田, 実三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 01.09.1972
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.26.765

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Summary:トルイジンブルー超生染による癌診断法(以下「Tテスト」と略す)は1963年Richart1)が子宮頚癌に実施して95%以上の陽性率を得て以来, 信頼性の高い癌補助診断法として評価され, 近時各科領域において応用されている. 2)4)~7)トルイジンブルー(Toluidine blue O)は核酸に親和性を有する異染性色素(Metachromatic dye)で, 核酸密度の高い悪性上皮を濃紫青色に染める. この特性を利用したTテストは肉眼的にまだ判別困難な早期の癌病巣を鋭敏に捉え, またその範囲を明瞭に画き出すことにより, 特に早期癌診断に有用な検査法といえる. 一方, Tテストにより切除さるべき腫瘍の範囲が明確に示され, また適切な治療法の適応が定められることは診断面のみならず, 治療面における意義も大なるものがある. われわれは昭和45年8月以来, 耳鼻科領域における悪性腫瘍を疑わしめた症例43例についてTテストを施行し, 病理組織学的所見および拡大鏡下に観察した局所の所見と対比して検討した.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.26.765