慢性拒絶により移植片に誘導される老化細胞の移植片生存への影響とSenolyticsの可能性

目的:高齢臓器に増加している老化細胞は移植片生存へ影響を及ぼすことが報告されている。老化細胞は様々な細胞ストレスで誘導される事が知られており、我々は慢性拒絶の環境が移植片に老化細胞を誘導し移植片生存へ影響するという仮説を立てた。方法:BALB/cをドナー、BALB/cもしくはC57BL/6をレシピエントとして異所性心移植を施行し、CTLA4-Igを用いて慢性拒絶モデルを作成した。老化細胞に対する治療としてSenolyticsをレシピエントに投与した。RT-PCR、組織化学染色を用いて老化細胞マーカーを評価した。また、組織学的分析、フローサイトメトリーを用いて拒絶反応を評価した。結果:Allog...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s234_2
Main Authors 中森, 啓太, Stefan, Tullius, 平野, 一, 小山, 耕平, 能見, 勇人, 上原, 博史, 前之園, 良一, 松永, 知久, 東, 治人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s234_2

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Summary:目的:高齢臓器に増加している老化細胞は移植片生存へ影響を及ぼすことが報告されている。老化細胞は様々な細胞ストレスで誘導される事が知られており、我々は慢性拒絶の環境が移植片に老化細胞を誘導し移植片生存へ影響するという仮説を立てた。方法:BALB/cをドナー、BALB/cもしくはC57BL/6をレシピエントとして異所性心移植を施行し、CTLA4-Igを用いて慢性拒絶モデルを作成した。老化細胞に対する治療としてSenolyticsをレシピエントに投与した。RT-PCR、組織化学染色を用いて老化細胞マーカーを評価した。また、組織学的分析、フローサイトメトリーを用いて拒絶反応を評価した。結果:Allogeneicな移植片はSyngeneicな移植片と比較し老化細胞マーカーの増加を認めた(p<0.05)。Senolyticsで治療した群は老化細胞マーカーの減少を認め、組織学的分析でも拒絶反応、線維化の低下を認めた。フローサイトメトリーではSenolytics群でTregの割合の増加とTh1、Th17の割合低下を認めた(p<0.01)。さらに、Senolytics群で移植片生存の有意な延長を認めた(MST=34.5 days vs. 49.0, p<0.05)。考察:移植片に誘導された老化細胞は移植片生存に影響し、Senolyticsでの老化細胞の除去は移植片生存の延長に寄与する新たな治療法となる可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s234_2