3群肺高血圧症への挑戦:肺高血圧症があるのに片肺移植しかできない患者をどうする
【目的】慢性呼吸不全は3型肺高血圧症を合併しうるが、本邦では年齢制限等の理由のため片肺移植で切り抜けざるを得ない状況がある。このような患者に対する肺移植戦略は難しく、当院における代表例を元に検討する。【症例1】60歳男性、特発性肺線維症のために片肺移植登録した。登録時は平均肺動脈圧16 mmHgであったが、待機中に46 mmHgまで上昇し肺高血圧症の進行を認めた。タダラフィル、マシテンタンの併用で制御できず、イロプロスト吸入により平均肺動脈圧27 mmHgまで下降しえた。62歳時に脳死右片肺移植をcentral VA ECMO下に行い再灌流後にECMO離脱した。【症例2】54歳男性、膠原病関連...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s147_2 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s147_2 |
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Summary: | 【目的】慢性呼吸不全は3型肺高血圧症を合併しうるが、本邦では年齢制限等の理由のため片肺移植で切り抜けざるを得ない状況がある。このような患者に対する肺移植戦略は難しく、当院における代表例を元に検討する。【症例1】60歳男性、特発性肺線維症のために片肺移植登録した。登録時は平均肺動脈圧16 mmHgであったが、待機中に46 mmHgまで上昇し肺高血圧症の進行を認めた。タダラフィル、マシテンタンの併用で制御できず、イロプロスト吸入により平均肺動脈圧27 mmHgまで下降しえた。62歳時に脳死右片肺移植をcentral VA ECMO下に行い再灌流後にECMO離脱した。【症例2】54歳男性、膠原病関連間質性肺炎に対し両肺移植登録した。登録時の平均肺動脈圧は29 mmHgであり、シルデナフィル内服で制御されていた。肺高血圧は軽度であること、年齢、手術侵襲を踏まえ、60歳時に片肺移植に登録変更したところドナーコールあり。麻酔導入後の平均肺動脈圧は55 mmHgであり、肺高血圧症の進行が判明した。central VA ECMO下に脳死右片肺移植を行い再灌流後にECMO離脱した。【考察】3型肺高血圧症合併症例に対して片肺移植で乗り切ることができた症例を経験した。術前イロプロスト吸入は有効だったと思われ、今後はトレプロスチニル吸入薬に期待したい。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s147_2 |