肝小腸移植を検討した症例から考察する肝小腸移植の適応について

<背景>本邦における肝小腸移植の適応基準は定まったものがない。近年は腸管リハビリテーションの概念も発展しており、当院がこれまでに関与した肝小腸移植実施あるいは検討症例を解析し、肝小腸移植の適応について考察した。<症例>米国で多臓器移植を受けた乳児4例。原疾患は腸管不全に起因するIFALD。2例は移植後周術期に死亡したが、2例は移植後7年と19年が経過して状態は安定している。当院で肝小腸移植を検討した症例は4例。症例1は22歳女性。7歳時の中腸軸捻転による短腸症候群に起因するIFALD。腎不全も併発し、肝臓・小腸・腎臓移植の候補者となったが、脳死待機中に死亡した。症例2は11ヶ月男児の巨大膀胱短...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s205_1
Main Authors 山田, 洋平, 堀, 周太郎, 阿部, 雄太, 北川, 雄光, 藤野, 明浩, 工藤, 裕実, 長谷川, 康, 北郷, 実, 高橋, 信博, 田中, 真之, 八木, 洋, 松原, 健太郎, 岡林, 剛史, 尾原, 秀明, 加藤, 源俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s205_1

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Summary:<背景>本邦における肝小腸移植の適応基準は定まったものがない。近年は腸管リハビリテーションの概念も発展しており、当院がこれまでに関与した肝小腸移植実施あるいは検討症例を解析し、肝小腸移植の適応について考察した。<症例>米国で多臓器移植を受けた乳児4例。原疾患は腸管不全に起因するIFALD。2例は移植後周術期に死亡したが、2例は移植後7年と19年が経過して状態は安定している。当院で肝小腸移植を検討した症例は4例。症例1は22歳女性。7歳時の中腸軸捻転による短腸症候群に起因するIFALD。腎不全も併発し、肝臓・小腸・腎臓移植の候補者となったが、脳死待機中に死亡した。症例2は11ヶ月男児の巨大膀胱短小結腸腸管蠕動不全症に起因するIFALD。肝臓・小腸移植登録となったが、待機中に死亡した。症例3は1歳男児のHypoganglionosisに起因するIFALD。残存小腸40cm、経口摂取は可能で鬱滞性腸炎は認めなかったため、肝臓単独移植を施行し術後にTeduglutideを併用した腸管リハビリテーションを導入。移植後1年で経過は安定。症例4は41歳男性。クローン病腸管不全に起因するIFLAD。肝小腸移植を検討中であるが、現在Teduglutideを併用して経口摂取は可能であり、肝不全が進行した際には肝臓単独移植の選択肢も検討される。<結論>肝小腸同時斡旋が必要な患者は一定数存在するが、IFALDに対する肝小腸移植の適応は多職種アセスメントに基づく慎重な判断が求められる。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s205_1