生体腎移植術直後にCOVID-19感染が発覚した1例

症例は51歳 男性。38歳で高血糖を指摘され、45歳でインスリン導入となるも、徐々に腎機能の増悪を認め、49歳で血液透析導入となった。透析歴1年9か月、妻をドナーとする生体腎移植術を施行した。術前1週間前より入院し、血液透析を施行していた。入院時のCOVID-19のPCR検査は陰性であった。しかし、生体腎移植術中に院内でクラスター感染が報告され、術後に再度COVID-19 PCR検査を施行したところ陽性となり、ICUへ入室。術後も呼吸器症状を認めなかったため、ソトロビマブ500mgを投与し、免疫抑制療法はプロトコール通りに導入にバシリキシマブ、維持にタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、プ...

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Published in移植 Vol. 57; no. Supplement; p. s266_2
Main Authors 佐々木, 拓馬, 丸山, 通広, 大平, 学, 今西, 俊介, 遠藤, 悟史, 栃木, 透, 丸山, 哲郎, 木下, 和也, 貝沼, 駿介, 森下, 弘基, 松原, 久裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
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Summary:症例は51歳 男性。38歳で高血糖を指摘され、45歳でインスリン導入となるも、徐々に腎機能の増悪を認め、49歳で血液透析導入となった。透析歴1年9か月、妻をドナーとする生体腎移植術を施行した。術前1週間前より入院し、血液透析を施行していた。入院時のCOVID-19のPCR検査は陰性であった。しかし、生体腎移植術中に院内でクラスター感染が報告され、術後に再度COVID-19 PCR検査を施行したところ陽性となり、ICUへ入室。術後も呼吸器症状を認めなかったため、ソトロビマブ500mgを投与し、免疫抑制療法はプロトコール通りに導入にバシリキシマブ、維持にタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾロンの3剤で行った。以降もCOVID-19関連の症状は認めず、術4日目にはICUを退室し、術11日目には一般病棟管理となった。移植片腎機能も良好に経過し、術24日退院。移植後3か月の現在まで良好に経過している。「新型コロナウイルス感染症の移植医療における基本指針」や「新型コロナウイルス感染症の治療 Q&A」ではCOVID-19陽性移植患者への免疫抑制薬の調整方法や治療法について言及されている。しかし、周術期にCOVID-19感染が発覚した生体腎移植症例は本症例が最初の報告であり、免疫抑制薬の調整方法に一定の見解は示されていない。術直後にCOVID-19感染が発覚し、通常の免疫抑制薬投与にて良好に経過した生体腎移植症例を経験したため、若干の文献的考察を含めて報告する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s266_2