ラット胸髄レベルの脊椎・脊髄短縮モデル 脊髄損傷慢性期における完全麻痺の治療を想定して

【はじめに】我々は胸髄レベルでの脊髄損傷の治療を想定して,ラットを用い脊椎・脊髄短縮モデルを作成した.開発の途中ではあるが,今までの成果を報告する.【対象と方法】生後13~16週のWistarラットを使用した.第8胸椎椎体レベルの脊髄を切断後に除去し,第8胸椎椎体の切除を行った.第6と第10胸椎椎弓根に挿入したmini screwに糸をかけ,脊髄が吻合する様に引き寄せて固定した.【結果】当初は術後の長期生存は困難であったが,術中の出血量の減少や術後管理の工夫などで術後2カ月以上の生存がほぼ可能となった.術後の運動機能はBBBスコアを用い評価し最大で5であった.組織学的に吻合部は連続していたが,...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 57; no. 1; pp. 102 - 105
Main Authors 片岡, 秀雄, 吉田, 佑一郎, 田口, 敏彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2008
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Summary:【はじめに】我々は胸髄レベルでの脊髄損傷の治療を想定して,ラットを用い脊椎・脊髄短縮モデルを作成した.開発の途中ではあるが,今までの成果を報告する.【対象と方法】生後13~16週のWistarラットを使用した.第8胸椎椎体レベルの脊髄を切断後に除去し,第8胸椎椎体の切除を行った.第6と第10胸椎椎弓根に挿入したmini screwに糸をかけ,脊髄が吻合する様に引き寄せて固定した.【結果】当初は術後の長期生存は困難であったが,術中の出血量の減少や術後管理の工夫などで術後2カ月以上の生存がほぼ可能となった.術後の運動機能はBBBスコアを用い評価し最大で5であった.組織学的に吻合部は連続していたが,間には瘢痕が形成されていた.【考察】今後,モデルに改良を加え,脊髄の吻合部を越えた神経軸索の接合が起きれば,脊椎・脊髄短縮術は脊髄損傷後の完全麻痺に対して臨床応用できる可能性があると考えられる.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.57.102