腎移植後腎性貧血に対するhypoxia-inducible factor prolyl-hydroxylase inhibitor (HIF-PHi)の効果と安全性の検証

【目的】腎性貧血に対する新規経口製剤であるHypoxia-inducible factor prolyl-hydroxylase inhibitor (HIF-PHi)は腎移植レシピエント(KTR)では十分に検証されていない. 埼玉県下ハイボリュームセンターである当院での成績を報告する. 【方法】戸田中央総合病院で2021年11月から2023年3月までにHIFPHiを開始したKTR 41人を対象とした. ヘモグロビン濃度(Hgb)は 11.0-13.0を目標として管理された.開始前と比較した1/3/6ヶ月時点のHgbと血清クレアチニン値(Cre)の変化絶対値ならびに有害事象の発生率, 中止率及...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s264_3
Main Authors 尾本, 和也, 八木澤, 隆史, 市岡, 蒔子, 清水, 朋一, 乾, 政志, 石山, 雄大, 飯田, 祥一, 野崎, 大司, 萩原, 鮎歩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s264_3

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Summary:【目的】腎性貧血に対する新規経口製剤であるHypoxia-inducible factor prolyl-hydroxylase inhibitor (HIF-PHi)は腎移植レシピエント(KTR)では十分に検証されていない. 埼玉県下ハイボリュームセンターである当院での成績を報告する. 【方法】戸田中央総合病院で2021年11月から2023年3月までにHIFPHiを開始したKTR 41人を対象とした. ヘモグロビン濃度(Hgb)は 11.0-13.0を目標として管理された.開始前と比較した1/3/6ヶ月時点のHgbと血清クレアチニン値(Cre)の変化絶対値ならびに有害事象の発生率, 中止率及び理由について検証した. 【結果】男性29人, 女性12人で平均年齢は52.4歳. 腎不全の原疾患糖尿病性腎症(10人)が最多であった. 29人(70.7%)はESAからの切り替えであり, 開始時のeGFR値は平均 28.5, 血清Fe値は平均92であった. Hgb変化値の平均は1/3/6ヶ月時点で+1.1, +1.35, 1.05でCre変化値の平均は -0.16, -0.05, +0.17であった. 主な有害事象は透析シャント閉塞2例(4.8%), 深部静脈血栓症1例(2.4%, 直接関連のない死亡が1例確認された. 12例で中止に至り, 最多の理由はHgb値の目標範囲外への増加で6例(14.6%)であった. 現在、非移植患者58人との比較を行っている. 【考察】ESAからの切り替えが7割である本コホートにおいて, HIFPHiはHgbの維持に有用であった一方, 至適管理値外への上昇に注意が必要であることが示唆された.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s264_3