免疫学的ハイリスク腎移植における低用量リツキシマブを用いた脱感作療法とサイトメガロウイルス感染症:5年間の追跡調査
【緒言】2020年、我々は、生体腎移植における低用量リツキシマブを用いた脱感作療法は移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染症を増加させることなく、移植後2年にわたり良好な生着率を実現することを報告した。今回、さらに長期の成績を検討した。【対象と方法】対象は2009年5月から2021年9月までに当院で生体腎移植を受けた131名のレシピエント。術前リツキシマブ(200mg/body)の適応は1. ABO血液型不適合、2.ABO血液型不一致、3.ドナー特異的抗体(DSA)陽性、4.巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)であった。【結果】リツキシマブ群83例、非リツキシマブ群34例。年齢(中央値:51...
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Published in | 移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s307_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
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Summary: | 【緒言】2020年、我々は、生体腎移植における低用量リツキシマブを用いた脱感作療法は移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染症を増加させることなく、移植後2年にわたり良好な生着率を実現することを報告した。今回、さらに長期の成績を検討した。【対象と方法】対象は2009年5月から2021年9月までに当院で生体腎移植を受けた131名のレシピエント。術前リツキシマブ(200mg/body)の適応は1. ABO血液型不適合、2.ABO血液型不一致、3.ドナー特異的抗体(DSA)陽性、4.巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)であった。【結果】リツキシマブ群83例、非リツキシマブ群34例。年齢(中央値:51歳vs41歳, p=0.03)はリツキシマブ群がやや高齢であった。38℃以上の発熱(11% vs 9%, p=1.00)、消化器症状(8% vs 15%, p=0.32)、好中球<1000の好中球減少症(43% vs 29%, p=0.21)などのCMV感染症における臨床症状(14% vs 21%, p=0.41)に有意差はなく、移植後5年までの腎機能 (Cr, eGFR)は同等で、5年間のグラフト生着率(96% vs 93%, p=0.54)も両群で差を認めなかった。【結論】前回の研究と同様、低用量リツキシマブを用いた脱感作療法は免疫学ハイリスクなレシピエントに対して、予防投与法を用いずともCMV感染を増加させることなく良好なグラフト予後を得られることが示された。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s307_1 |