外科医10年目からみた移植外科の魅力と実際

【背景】内科や基礎研究の道を考えていた学生時代に移植医療と出会い、集中治療と高度な手術手技を通じて重症患者を救命するやりがい、そして医学的にも社会的にも未解決課題が残る領域だからこそ、医者人生を捧げたいと考え移植の道を選択した。【移植医療の特性と魅力】内科管理も手術手技も最高難度と考えらえれ、最重症患者・難治癌患者の救命に向けて挑戦し続けているという実感がある。また、韓国ASAN medical centerで世界最高峰の手術手技と診療、そして教育を目の当たりにし、資格取得に甘んじず生涯修練・教育を続ける上での1つの目標となった。さらに、他治療で救命困難な患者を命の贈り物で救うという崇高さとそ...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s241_2
Main Authors 櫻井, 悠人, 蛭川, 和也, 入江, 友章, 菅原, 寧彦, 本田, 正樹, 磯野, 香織, 嶋田, 圭太, 日比, 泰造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.57.Supplement_s241_2

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Summary:【背景】内科や基礎研究の道を考えていた学生時代に移植医療と出会い、集中治療と高度な手術手技を通じて重症患者を救命するやりがい、そして医学的にも社会的にも未解決課題が残る領域だからこそ、医者人生を捧げたいと考え移植の道を選択した。【移植医療の特性と魅力】内科管理も手術手技も最高難度と考えらえれ、最重症患者・難治癌患者の救命に向けて挑戦し続けているという実感がある。また、韓国ASAN medical centerで世界最高峰の手術手技と診療、そして教育を目の当たりにし、資格取得に甘んじず生涯修練・教育を続ける上での1つの目標となった。さらに、他治療で救命困難な患者を命の贈り物で救うという崇高さとそれを支える高度な全身管理・長期管理は、生命に寄り添いたい、より多くの患者を治療できるようになりたいという医師の根源的動機に通じると考える。【将来性】手術デバイスやシミュレーションソフトの発達によってsurgical feasibilityが拡大する中で、安全かつ長期予後良好な移植手技が探求され続けている。研究シーズは遺伝、免疫から原疾患研究に至るまで幅広い。また、医療のsingularityの1つとも考えられる再生臓器移植が実現された時、臓器移植手技とその管理技術は必須であり、移植医療は今後も重要な役割を担い続けると考える。【現状】36協定実装を目前に、また働き甲斐より生き甲斐重視の時代において、診療体制の整備は急務である。それと同時に、移植医を多施設で持続的に育てながら人材やノウハウの共有が進むことが重要と考える。また、移植啓蒙のため行政・社会への働きかけが進むことを願う。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s241_2