生体腎移植ドナーにおける長期的な栄養介入の重要性
日本の生体腎移植術を受ける年代は、レシピエント、ドナーともに60歳代で多く、高齢ドナーは内科的疾患を既にもっていることが多い。一方で若年ドナーは腎提供後、長期にわたり生活習慣病を予防することが重要である。ドナーに対しては、腎機能の推移や併存疾患の有無、禁煙、体重管理、QOLなどの総合的評価が必要であり、生活の一部である食習慣はドナーの予後に大きく関係する。 当院では、ドナーに対して手術前から術後長期的な栄養介入を実施している。移植前の検査段階においては、移植後の食生活について説明を行い、定期的な栄養指導が必要な患者には、継続栄養指導を実施している。栄養指導は体重コントロールに関する症例が多く、...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s403_2 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s403_2 |
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Summary: | 日本の生体腎移植術を受ける年代は、レシピエント、ドナーともに60歳代で多く、高齢ドナーは内科的疾患を既にもっていることが多い。一方で若年ドナーは腎提供後、長期にわたり生活習慣病を予防することが重要である。ドナーに対しては、腎機能の推移や併存疾患の有無、禁煙、体重管理、QOLなどの総合的評価が必要であり、生活の一部である食習慣はドナーの予後に大きく関係する。 当院では、ドナーに対して手術前から術後長期的な栄養介入を実施している。移植前の検査段階においては、移植後の食生活について説明を行い、定期的な栄養指導が必要な患者には、継続栄養指導を実施している。栄養指導は体重コントロールに関する症例が多く、肥満ドナーは減量に成功しても、腎提供後にリバウンドするリスクが高い。 現在、継続栄養指導の対象となっているドナーは10%程度だが、身体的不調を感じていないドナーは栄養指導を拒否することがあり、栄養介入が必要な症例は実際にはもっと多い。そのため、移植コーディネーター、病棟・外来看護師等と定期的に栄養カンファレンスを実施し、食改善が必要な症例に対して情報共有をしている。習慣化した食生活の改善は容易ではなく、食生活のみならず仕事や趣味などの生活パターンを考慮した、個々の患者に適した継続可能な方法を提案する必要がある。今回は当院の腎移植ドナーに対する栄養介入の取り組みと今後の課題について報告する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s403_2 |