ナラティブの方法論的諸問題とマーケティング史研究への適用可能性
社会科学においては,当事者への直接的な聞き取り調査の方法における資料収集が行われている。聞き取り調査の方法は,一問一答のようなインタビュー形式の場合もあれば,対象となる事象に関わる状況について幅広く自由に語ってもらうような対話形式の場合もある。後者のような当事者の経験に関する語りを手がかりとして,何らかの現象に迫る方法は,社会科学においてナラティブ(narrative:語り,または物語)として概念化され,質的研究法の一つとして位置付けられている。本研究では,まず次節で定量的研究と定性的研究の相克に触れ,第3節ではナラティブ研究の特徴を整理するとともに,その一領域であるオーラル・ヒストリー研究と...
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Published in | マーケティング史研究 Vol. 1; no. 2; pp. 226 - 235 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
マーケティング史学会
30.09.2022
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Subjects | |
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ISSN | 2436-8342 |
DOI | 10.51102/jmhr.1.2_226 |
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Summary: | 社会科学においては,当事者への直接的な聞き取り調査の方法における資料収集が行われている。聞き取り調査の方法は,一問一答のようなインタビュー形式の場合もあれば,対象となる事象に関わる状況について幅広く自由に語ってもらうような対話形式の場合もある。後者のような当事者の経験に関する語りを手がかりとして,何らかの現象に迫る方法は,社会科学においてナラティブ(narrative:語り,または物語)として概念化され,質的研究法の一つとして位置付けられている。本研究では,まず次節で定量的研究と定性的研究の相克に触れ,第3節ではナラティブ研究の特徴を整理するとともに,その一領域であるオーラル・ヒストリー研究とライフ・ヒストリー研究の概観を得る。そして第4節では,ナラティブの問題点について言及し,結語において,こうした方法のマーケティング史研究に対する適用可能性について議論する。 |
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ISSN: | 2436-8342 |
DOI: | 10.51102/jmhr.1.2_226 |