小児専門病院でみえた 家族支援の限界
あいち小児保健医療総合センターは小児救命救急センター指定を受けた小児専門病院である。2016年の小児救命救急センター開設当初は臓器提供に関わる院内体制がなく、選択肢提示を行っていなかった。日本臓器移植ネットワークによる院内体制整備支援事業、藤田医科大学を基幹施設とした臓器提供施設連携体制構築事業の支援を得て院内体制を整備した。院内コーディネーターの視点から家族対応の課題について報告する。 当センターの小児集中治療室では、重篤な状態で入院する小児患者の家族に対して、主治医や病棟看護師に加えて心療科医師や臨床心理士が介入して支援を提供している。患児の入院中は両親だけでなく、「きょうだい」へも濃厚な...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s168_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s168_1 |
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Summary: | あいち小児保健医療総合センターは小児救命救急センター指定を受けた小児専門病院である。2016年の小児救命救急センター開設当初は臓器提供に関わる院内体制がなく、選択肢提示を行っていなかった。日本臓器移植ネットワークによる院内体制整備支援事業、藤田医科大学を基幹施設とした臓器提供施設連携体制構築事業の支援を得て院内体制を整備した。院内コーディネーターの視点から家族対応の課題について報告する。 当センターの小児集中治療室では、重篤な状態で入院する小児患者の家族に対して、主治医や病棟看護師に加えて心療科医師や臨床心理士が介入して支援を提供している。患児の入院中は両親だけでなく、「きょうだい」へも濃厚な支援を提供できる。しかし、臓器提供を終えて患児が退院すると、家族とつながる機会が減り、十分な支援を届けることが難しくなる現状がある。家族が精神医学的な支援を必要としたとき、「きょうだい」へは小児に特化した当センターのリソースを最大限いかした支援を提供できても、両親への支援については当センターで提供できる範囲には限界もあり、状況によっては成人施設の介入が望ましいこともある。 小児専門病院で臓器・組織提供を行うメリットも大いにあるが、一方で、臓器提供を行った小児患者に関わるグリーフケアを家族にどう提供するかといった課題もあり、必要な部分は成人施設と連携しながら、より良い家族支援の形を追求していきたい。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s168_1 |