ヒトCD31分子の異種細胞への導入はNK細胞誘導異種拒絶反応を抑制する

【目的】異種移植の臨床応用には、細胞性異種拒絶反応の制御が不可欠である。私達はヒト由来分子を異種細胞に導入し、その拒絶が制御可能か検証している。【方法】ブタ血管内皮細胞(SEC)にヒトCD31遺伝子を導入、SEC/hCD31を樹立した。ヒト末梢血単核球由来のNK細胞のCD31発現を確認し、これをナイーブSEC及びSEC/hCD31と共培養し、細胞障害活性をWST-8法で測定、CD31同士の結合により誘導されるNK活性抑制効果を調べた。次に、共培養によって生じる脱顆粒はhCD31の導入でどの程度抑制されるかNK細胞の脱顆粒マーカーであるCD107a発現をFlow Cytometryで評価した。【...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s309_2
Main Authors 古形, 修平, 前田, 晃, 羅, ペイ淇, 家光, 恵心, 谷, 牧子, Katarzyna, Gadomska, 高瀬, 洪生, 正畠, 和典, 神山, 雅史, 江口, 寛, 田口, 卓良, 河村, 拓史, 奥山, 宏臣, 宮川, 周士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【目的】異種移植の臨床応用には、細胞性異種拒絶反応の制御が不可欠である。私達はヒト由来分子を異種細胞に導入し、その拒絶が制御可能か検証している。【方法】ブタ血管内皮細胞(SEC)にヒトCD31遺伝子を導入、SEC/hCD31を樹立した。ヒト末梢血単核球由来のNK細胞のCD31発現を確認し、これをナイーブSEC及びSEC/hCD31と共培養し、細胞障害活性をWST-8法で測定、CD31同士の結合により誘導されるNK活性抑制効果を調べた。次に、共培養によって生じる脱顆粒はhCD31の導入でどの程度抑制されるかNK細胞の脱顆粒マーカーであるCD107a発現をFlow Cytometryで評価した。【結果】NK細胞 による細胞傷害活性はナイーブSECに比較してSEC/hCD31では有意に抑制された(45.2% vs. 36.8%, p=0.0362, N=15)。CD107aを用いた脱顆粒アッセイでは、ナイーブSECに比してSEC/hCD31ではCD107aのMFI(113.6 vs.39.8, p=0.0189, N=5)及びCD107a陽性細胞率(4.284% vs.1.476%, p=0.002, N=5)共に有意に抑制されていた。【結論】SECへ導入されたヒトCD31は、NK細胞による異種拒絶反応を有意に抑制した。今後、ヒトCD31によって入力される抑制シグナルの詳細を解析する。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s309_2