当院における腎移植患者の亜鉛血中濃度の検討
【背景と目的】亜鉛が欠乏すると、亜鉛酵素の活性が低下し蛋白合成全般が低下する。これにより貧血や易感染性、味覚障害、下痢、骨粗鬆症などを呈する。腎移植患者は貧血になりやすく易感染性であると考えられるが、腎移植患者の亜鉛の血中濃度に関しては今まであまり検討がなされていなかった。今回、当院で腎移植を施行し1年以上経過した症例のうち、亜鉛血中濃度を計測した37例について検討した。【結果】37例中、男性19例、女性18例であった。平均年齢は48.2歳。原病が糖尿病だったのは19症例であった。Preemptiveは7症例。ABO適合は23例、ABO不適合は14例であった。腎移植後の経過月数は平均47.2か...
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Published in | 移植 Vol. 57; no. Supplement; p. s404_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
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Summary: | 【背景と目的】亜鉛が欠乏すると、亜鉛酵素の活性が低下し蛋白合成全般が低下する。これにより貧血や易感染性、味覚障害、下痢、骨粗鬆症などを呈する。腎移植患者は貧血になりやすく易感染性であると考えられるが、腎移植患者の亜鉛の血中濃度に関しては今まであまり検討がなされていなかった。今回、当院で腎移植を施行し1年以上経過した症例のうち、亜鉛血中濃度を計測した37例について検討した。【結果】37例中、男性19例、女性18例であった。平均年齢は48.2歳。原病が糖尿病だったのは19症例であった。Preemptiveは7症例。ABO適合は23例、ABO不適合は14例であった。腎移植後の経過月数は平均47.2か月であった。腎機能は血清Cr 1.4±0.54mg/dl、eGFRで44.0±17.1ml/min、Hbは12.0±1.52g/dlであった。37症例の亜鉛血中濃度は70.1±9.13μg/dl(基準値80-130μg/dl)であった。亜鉛血中濃度が60μg/dl未満の症例は4例、60-80μg/dl未満の症例は28例、80μg/dl以上の症例は6例であった。亜鉛の血中濃度が60μg/dl未満の4症例は、他の症例群と比べてFeとは関連なくHbが低い印象であり、亜鉛欠乏症が貧血の一因である可能性が考えられた。この4例の感染による入院は蜂窩織炎での入院が1回、不明熱が1回のみであった。他の症例の感染による入院は33例中11症例であり、低亜鉛と易感染性の関連性は低い印象であった。【結語】当院の腎移植患者の亜鉛血中濃度を検討した。腎移植後、Hbが低い症例に関してはより積極的に血中亜鉛濃度を評価する必要があると考えられた。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s404_1 |