移植後再発の治療に難渋した家族性ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群の一小児例
【症例】4歳男児【家族歴】姉:1歳0か月でステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(SRNS)を発症。腹膜透析導入後、3歳で永眠。腎生検実施、NPHS1, NPHS2, WT-1遺伝子異常【臨床経過】2歳0か月でSRNSを発症した。既知のSRNS原因遺伝子に異常を認めなかった。2歳3か月で腹膜透析導入、2歳5か月で蛋白尿改善を目的に左腎摘出を行った(病理診断 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS))。4歳時に母をドナーとした血液型適合生体腎移植及び右腎摘出を行った(移植時体重 11.4㎏)。移植直後から蛋白尿が出現したためFSGS再発を疑い、ステロイドパルス療法(MPT)を開始したが、尿蛋白は著増し、移植...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s374_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s374_1 |
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Summary: | 【症例】4歳男児【家族歴】姉:1歳0か月でステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(SRNS)を発症。腹膜透析導入後、3歳で永眠。腎生検実施、NPHS1, NPHS2, WT-1遺伝子異常【臨床経過】2歳0か月でSRNSを発症した。既知のSRNS原因遺伝子に異常を認めなかった。2歳3か月で腹膜透析導入、2歳5か月で蛋白尿改善を目的に左腎摘出を行った(病理診断 巣状分節性糸球体硬化症(FSGS))。4歳時に母をドナーとした血液型適合生体腎移植及び右腎摘出を行った(移植時体重 11.4㎏)。移植直後から蛋白尿が出現したためFSGS再発を疑い、ステロイドパルス療法(MPT)を開始したが、尿蛋白は著増し、移植翌日に低アルブミン血症による低容量性ショックおよび急性腎障害を呈して無尿となった。同日中にリツキシマブを投与し、移植後2日から血液透析を導入した。また、移植後4日より血漿交換(PE)を開始した。移植腎機能は回復し、移植後16日で血液透析を離脱した。移植後22日の移植腎生検では、FSGSの再発と診断した。蛋白尿も一時的に改善したが、移植後25日より再び増加に転じたため、移植後34日にリツキシマブを再投与した。移植後約3か月までにMPT5クールと40回超のPEを実施することで、完全寛解を達成した。現在、移植後約8か月が経過したが、寛解は維持されており、移植腎機能は良好である。【考察】家族性SRNSであっても、遺伝子異常が認められていない場合には、移植後のFSGS再発に注意を要すると考えられた。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s374_1 |