CFSE-MLRにより明らかになった肺移植後早期のアロ免疫応答活性
背景:肺は免疫原性が強く、他臓器に比べてよりアロ免疫応答が活性化されるとされるが、直接示した研究はない。方法:生体肺移植7例において、術後7日目にドナー・レシピエントから採血を行い、レシピエントのリンパ球をCFSEで標識、放射線照射したドナーリンパ球との混合培養後にフローサイトメトリーで解析し(CFSE-MLR)、レシピエントTリンパ球の細胞分裂の指標であるstimulation index(CD8 SI・CD4 SI)を算出した。多施設共同研究として解析は広島大学で行われ、CD8 SI>2を細胞性アロ免疫応答活性の指標とし、臨床経過と比較した。結果: 片肺移植1例、両肺移植6例で、13のドナ...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s237_3 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s237_3 |
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Summary: | 背景:肺は免疫原性が強く、他臓器に比べてよりアロ免疫応答が活性化されるとされるが、直接示した研究はない。方法:生体肺移植7例において、術後7日目にドナー・レシピエントから採血を行い、レシピエントのリンパ球をCFSEで標識、放射線照射したドナーリンパ球との混合培養後にフローサイトメトリーで解析し(CFSE-MLR)、レシピエントTリンパ球の細胞分裂の指標であるstimulation index(CD8 SI・CD4 SI)を算出した。多施設共同研究として解析は広島大学で行われ、CD8 SI>2を細胞性アロ免疫応答活性の指標とし、臨床経過と比較した。結果: 片肺移植1例、両肺移植6例で、13のドナー・レシピエントの組み合わせでCFSE-MLRを施行。CD8 SI>2となったのは両肺移植の3例で、いずれも、術後6日目、14日目、17日目に臨床的な急性拒絶反応を発症しステロイドパルスを要した。ステロイドパルス開始後にCFSE-MLRを行った1例を除き、2例で画像上拒絶の陰影が優位にみられる側のドナーに対してのCD8 SIがより高値であった。他の4症例では術後に臨床的な拒絶反応を認めなかった。CD4 SIはHLA class2のミスマッチ数と有意な正の相関を認めたが、CD8 SIはHLA class1のミスマッチ数とは関連がなかった。結論:肺移植においては術後早期にアロ免疫応答が活性化している症例がある。CFSE-MLRのCD8応答は実際に拒絶が起こっているかに関連し、CD4応答はHLA class2のミスマッチと関連していた。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s237_3 |