ドナー年齢別の生体腎移植における薬剤性腎障害の検討

【緒言】カルシニューリン阻害薬による腎毒性(CNI-T)は、動脈硬化性病変のある移植腎に起こりうる移植後合併症で、高齢ドナーからの提供腎では高頻度であると考えられている。本研究では、生体腎移植でのドナー年齢に注目したCNI-Tの臨床的検討を行う。【対象と方法】2014年から2020年の間の生体腎移植221例を対象とした。ドナー年齢70歳以上の高齢ドナー群と、それ以下の非高齢ドナー群で、①移植腎機能(eGFR)と、②CNI-T(移植腎生検でaahスコア1以上)の経時的な発症率を検討した。【結果】eGFRは高齢ドナー群で低く経過していたが、CNI-T発症率は2群間で有意差を認めなかった。しかし、ド...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in移植 Vol. 57; no. Supplement; p. s405_2
Main Authors 高田, 祐輔, 田邉, 起, 閑, 仁志朗, 原田, 理予, 相澤, 翔吾, 氏橋, 一紘, 三浪, 圭太, 原田, 浩, 田中, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2022
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【緒言】カルシニューリン阻害薬による腎毒性(CNI-T)は、動脈硬化性病変のある移植腎に起こりうる移植後合併症で、高齢ドナーからの提供腎では高頻度であると考えられている。本研究では、生体腎移植でのドナー年齢に注目したCNI-Tの臨床的検討を行う。【対象と方法】2014年から2020年の間の生体腎移植221例を対象とした。ドナー年齢70歳以上の高齢ドナー群と、それ以下の非高齢ドナー群で、①移植腎機能(eGFR)と、②CNI-T(移植腎生検でaahスコア1以上)の経時的な発症率を検討した。【結果】eGFRは高齢ドナー群で低く経過していたが、CNI-T発症率は2群間で有意差を認めなかった。しかし、ドナー年齢を10歳ごとに層別化して検討したところ、CNI-T発症率は60歳以上で増加する傾向を認めた(Fig1)。そして、60歳を区切りとすると、有意差に60歳以上でCNI-Tの発症が多かった(Fig2)。【結語】ドナー年齢60歳以上でCNI-Tの発症率が増加し、70歳以上では低腎機能で経過していた。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.57.Supplement_s405_2