腎血管内皮細胞特異的抗血液型抗体測定法の開発
背景:ABO血液型不適合腎移植において抗体価は必ずしも臨床の結果と相関しない場合がある。抗体価測定法は赤血球を用いた凝集反応が主流であるが、ABO抗原は赤血球と腎血管内皮細胞で異なることを我々は報告した。そこで、腎血管内皮細胞のABO抗原に特異的な抗体価測定(CD31-ABOアレイ)を開発した。方法:赤血球と異なり、腎血管内皮細胞上では、CD31がABO抗原を持つから、HEK293細胞にA型、B型、O型糖転移酵素を過剰発現させ、CD31の糖鎖結合領域を含むベクターをトランスフェクションした。各血液型抗原が発現するCD31を培養培地中から抽出しマイクロプレートに固相化し、患者血漿を反応させ二次抗...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s324_3 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s324_3 |
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Summary: | 背景:ABO血液型不適合腎移植において抗体価は必ずしも臨床の結果と相関しない場合がある。抗体価測定法は赤血球を用いた凝集反応が主流であるが、ABO抗原は赤血球と腎血管内皮細胞で異なることを我々は報告した。そこで、腎血管内皮細胞のABO抗原に特異的な抗体価測定(CD31-ABOアレイ)を開発した。方法:赤血球と異なり、腎血管内皮細胞上では、CD31がABO抗原を持つから、HEK293細胞にA型、B型、O型糖転移酵素を過剰発現させ、CD31の糖鎖結合領域を含むベクターをトランスフェクションした。各血液型抗原が発現するCD31を培養培地中から抽出しマイクロプレートに固相化し、患者血漿を反応させ二次抗体で発色し、各スポットの蛍光シグナルをArrayProAnalyzerで解析した。健常者、腎移植待機患者、ABO不適合腎移植を受けた患者の血漿(計252検体)を解析し、同じ検体を用いて赤血球凝集反応と比較した。結果: ABO血液型不適合腎移植を受けた患者のうち、抗体関連型拒絶反応(ABMR)を起こした患者と起こさなかった患者の2群で、腎移植前の検体を用いてどちらの検査が正確にABMRを予測できるか検討した。その結果、CD31-ABOアレイが有意に感度、特異度が高かった。結語;腎血管内皮細胞特異的抗血液型抗体測定法により、より正確にABO不適合腎移植後のABMRを予測することが可能であると推測できた。この結果により、ハイリスクの患者の脱感作療法を強化したり、感染症抑制のために無駄な脱感作療法を省略したりすることが可能になるかもしれない。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s324_3 |