非観血的連続血圧測定法 (Finapres 法) を用いた血圧変動と脈拍数変動の呼吸性共振現象の検討

呼吸反射検査は, 呼吸器を入力とし心血管系(心拍, 血圧)を出力とする反射系を測定するものである. 心拍および血圧の変動は呼吸周波数領域(0.14~0.40Hz)で共振することが知られている. DeBoerら1)は, この呼吸性共振現象は迷走神経を介する圧受容器反射による迅速な反応であると報告している. 呼吸性共振現象は, 圧受容器反射のみならず呼吸中枢で生じるインパルスの血管中枢への伝搬, 心肺受容体反射による修飾, など幾つかの迷走神経を介する反応も関与しており2), この定量的評価は迷走神経反射の感度の指標となる可能性が高い. 従来, 副交感神経機能の評価法として心拍数の変動が主に用いら...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 57; no. 4; pp. 259 - 271
Main Author 野呂, 浩史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 1994
日本温泉気候物理医学会
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Summary:呼吸反射検査は, 呼吸器を入力とし心血管系(心拍, 血圧)を出力とする反射系を測定するものである. 心拍および血圧の変動は呼吸周波数領域(0.14~0.40Hz)で共振することが知られている. DeBoerら1)は, この呼吸性共振現象は迷走神経を介する圧受容器反射による迅速な反応であると報告している. 呼吸性共振現象は, 圧受容器反射のみならず呼吸中枢で生じるインパルスの血管中枢への伝搬, 心肺受容体反射による修飾, など幾つかの迷走神経を介する反応も関与しており2), この定量的評価は迷走神経反射の感度の指標となる可能性が高い. 従来, 副交感神経機能の評価法として心拍数の変動が主に用いられてきた3-8). しかし, 血圧の変動を心拍数と同時に測定し相互に比較した報告は少ない1,2,9). 著者は非観血的に一拍毎の血圧, 脈拍数を動脈カテーテル法に匹敵する精度で連続測定できる10)非観血的連続血圧測定法(Finapres法)を利用し, 種々の呼吸の深さおよび呼吸リズム形態に応じた脈拍と血圧の共振現象を検討してきた11).
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.57.259