蛍光X線分析法による小麦粉中の微量元素定量と産地判別への応用

小麦粉の産地判別を目的として,蛍光X線分析法により小麦粉中の微量元素の高感度定量を試みた.三次元偏光光学系エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用い,測定条件を最適化した結果,小麦粉中の17元素(Na,Mg,Al,P,S,Cl,K,Ca,Mn,Fe,Cu,Zn,Br,Rb,Sr,Mo,Cd)において直線性のよい検量線を作成することができた.本法はサブppmレベルの重元素の定量が可能であった.63試料の小麦粉の定量分析を行ったところ,国産と外国産・混合とで微量元素組成に異なった傾向がみられた.更に,産地の指標となると考えられた特定の元素の定量値を用いた多変量解析から,国産の小麦粉をほぼ正確に判別でき...

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Published in分析化学 Vol. 58; no. 12; pp. 1011 - 1022
Main Authors 大高, 亜生子, 簗田, 陽子, 保倉, 明子, 松田, 賢士, 中井, 泉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 2009
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Summary:小麦粉の産地判別を目的として,蛍光X線分析法により小麦粉中の微量元素の高感度定量を試みた.三次元偏光光学系エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用い,測定条件を最適化した結果,小麦粉中の17元素(Na,Mg,Al,P,S,Cl,K,Ca,Mn,Fe,Cu,Zn,Br,Rb,Sr,Mo,Cd)において直線性のよい検量線を作成することができた.本法はサブppmレベルの重元素の定量が可能であった.63試料の小麦粉の定量分析を行ったところ,国産と外国産・混合とで微量元素組成に異なった傾向がみられた.更に,産地の指標となると考えられた特定の元素の定量値を用いた多変量解析から,国産の小麦粉をほぼ正確に判別できる判別式を構築することができた.本研究により,迅速・簡便な蛍光X線分析が産地判別に有用であることを示すことができた.今後は,本法がその他の食品へと応用されるだけでなく,多検体の分析を要する食品の品質検査における実用的な分析法として利用されることが期待される.
ISSN:0525-1931
DOI:10.2116/bunsekikagaku.58.1011