閉環メタセシス反応に高い活性をもつ新規な第二世代ルテニウム錯体触媒

N-ヘテロ環状カルベン(NHC)骨格の4位に電子供与性の高いMe3Si-基を導入した配位子を用いて,ルテニウムカルベン錯体[Cl2(Cy3P)(4-Me3Si-IPr) Ru=CHPh] (錯体触媒1, IPr = 1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン)を新規に合成し,NMRを用いて分光学的に化合物を同定した。この錯体触媒1について,ジエチルジアリールマロネートの閉環メタセシス反応で触媒性能の評価を行った。錯体触媒1の触媒性能は市販の第一世代グラブス触媒 [Cl2(Cy3P)2Ru=CHPh] を大きく上回るとともに,文献既知のMe3Si-基を持たない無置換...

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Published inJournal of the Japan Petroleum Institute Vol. 66; no. 1; pp. 23 - 26
Main Authors 松本, 和弘, 高木, 由紀夫, 崔, 準哲, 山根, 萌々, 水﨑, 智照, 瀬尾, 悠斗, 深谷, 訓久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 石油学会 01.01.2023
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ISSN1346-8804
1349-273X
DOI10.1627/jpi.66.23

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Summary:N-ヘテロ環状カルベン(NHC)骨格の4位に電子供与性の高いMe3Si-基を導入した配位子を用いて,ルテニウムカルベン錯体[Cl2(Cy3P)(4-Me3Si-IPr) Ru=CHPh] (錯体触媒1, IPr = 1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン)を新規に合成し,NMRを用いて分光学的に化合物を同定した。この錯体触媒1について,ジエチルジアリールマロネートの閉環メタセシス反応で触媒性能の評価を行った。錯体触媒1の触媒性能は市販の第一世代グラブス触媒 [Cl2(Cy3P)2Ru=CHPh] を大きく上回るとともに,文献既知のMe3Si-基を持たない無置換NHCを配位子とする第二世代グラブス触媒 [Cl2(Cy3P)(IPr)Ru=CHPh] と同等以上の触媒活性を示した。
ISSN:1346-8804
1349-273X
DOI:10.1627/jpi.66.23