HIV/HCV重複感染肝硬変の血友病A患者に対して脳死肝移植を施行した一例
HIV/HCV重複感染を伴う血友病A患者に対して脳死肝移植を施行したので, 症例報告する. 症例は50歳代, 男性. 乳児期に血友病Aと診断され, 血液製剤によりHIV/HCV/HBVに感染した. HIVはAnti-Retroviral Therapy (ART)により検出感度以下を維持していた. HCVはインターフェロン・リバビリン・シメプレビル併用療法ではSustained Virological Response(SVR)は達成されなかったが,DAAでSVRとなった.その後,肝性脳症および腹水を認め非代償性肝硬変と診断され,当院を紹介受診した. Child-Pugh 10点(Grade...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s319_1 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s319_1 |
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Summary: | HIV/HCV重複感染を伴う血友病A患者に対して脳死肝移植を施行したので, 症例報告する. 症例は50歳代, 男性. 乳児期に血友病Aと診断され, 血液製剤によりHIV/HCV/HBVに感染した. HIVはAnti-Retroviral Therapy (ART)により検出感度以下を維持していた. HCVはインターフェロン・リバビリン・シメプレビル併用療法ではSustained Virological Response(SVR)は達成されなかったが,DAAでSVRとなった.その後,肝性脳症および腹水を認め非代償性肝硬変と診断され,当院を紹介受診した. Child-Pugh 10点(Grade C), MELD score 19でありHIV/HCV共感染として脳死肝移植登録し,53日目に臓器提供のオファーがあり受諾した. 手術時間 556分, 出血量 2012mlであった. 術前シミュレーションを基に第VIII因子補充を行い, 止血コントロールは良好であった. また,血友病Aはエミシズマブで治療されており,APTTおよび第VIII因子活性の測定に抗エミシズマブ抗体を使用した.術後13日目から第Ⅷ因子製剤の補充は不要となった. 本症例では, HIV・血友病専門医, 麻酔科医, 消化器内科, 薬剤部, 輸血部, 臨床検査科と密なシミュレーション・連携を行うことで安全に脳死肝移植を施行できた. |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s319_1 |