腎移植レシピエントに対するロボット支援前立腺全摘術の経験
【目的】腎移植後の悪性腫瘍は増加傾向にあり、腎移植患者の主要死因である。腎移植レシピエントにおける前立腺癌の発症率は皮膚癌や腎癌、甲状腺癌と比較し有意に高くはないものの、前立腺が骨盤内に存在することから局所治療の選択時には留意が必要である。今回腎移植レシピエントに対するロボット支援前立腺全摘術を経験したため報告する。【症例】64歳男性、20XX-10年7月にABO不適合生体腎移植。20XX-1年5月、PSA 5.5ng/mlに対し前立腺生検を施行し、Adenocarcinoma、GS 3+3=6 (陽性コア数1本)。cT1cN0M0に対し監視療法を選択した。その後20XX年6月、PSA 11....
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s247_3 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s247_3 |
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Summary: | 【目的】腎移植後の悪性腫瘍は増加傾向にあり、腎移植患者の主要死因である。腎移植レシピエントにおける前立腺癌の発症率は皮膚癌や腎癌、甲状腺癌と比較し有意に高くはないものの、前立腺が骨盤内に存在することから局所治療の選択時には留意が必要である。今回腎移植レシピエントに対するロボット支援前立腺全摘術を経験したため報告する。【症例】64歳男性、20XX-10年7月にABO不適合生体腎移植。20XX-1年5月、PSA 5.5ng/mlに対し前立腺生検を施行し、Adenocarcinoma、GS 3+3=6 (陽性コア数1本)。cT1cN0M0に対し監視療法を選択した。その後20XX年6月、PSA 11.4ng/mlと上昇認め前立腺生検を施行し、Adenocarcinoma, GS 4+4=8 (4/12ヵ所)。cT2aN0M0に対し20XX年9月にロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺全摘除術を施行した。【結果】手術所見:移植腎は右腸骨窩にあったもののポート位置は通常どおり設置。移植尿管の走行に留意し、膀胱前腔を移植腎反対側から展開し手術を行った.手術時間:4時間29分,コンソール時間:3時間32分,出血量:53ml。術後病理結果はAdenocarcinoma,GS 3+5=8、EPE1,RM1,pn1,sv0,pT3aであった。術後12か月経過し再発なく経過している。【結論】腎移植レシピエントの限局性前立腺癌に対するロボット支援前立腺全摘術は重篤な合併症なく施行が可能であり、移植腎機能の維持からも重要な選択肢と考えられる。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s247_3 |