生体腎移植時の0時間生検における糸球体硬化所見はドナーの長期的な術後腎機能に影響する
[目的]生体腎移植時に実施する0時間生検において認める組織学的所見がドナーの術後腎機能へ及ぼす影響を明らかにする。[対象と方法]2003年3月から2020年3月に当施設において生体腎移植を施行した82例を対象とした。0時間生検の組織学的所見と術後1、3、12、24、36か月で測定したestimated glomerular filtration rate(eGFR)を後方視的に検討した。反復測定したeGFRを目的変数、組織学的所見を固定効果、患者個別の切片及び時間を変量効果とした線形混合効果モデルを用いて解析した。[結果]eGFRの中央値(IQR)は術前が82.8(74.4-94.3)mL/m...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s257_3 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s257_3 |
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Summary: | [目的]生体腎移植時に実施する0時間生検において認める組織学的所見がドナーの術後腎機能へ及ぼす影響を明らかにする。[対象と方法]2003年3月から2020年3月に当施設において生体腎移植を施行した82例を対象とした。0時間生検の組織学的所見と術後1、3、12、24、36か月で測定したestimated glomerular filtration rate(eGFR)を後方視的に検討した。反復測定したeGFRを目的変数、組織学的所見を固定効果、患者個別の切片及び時間を変量効果とした線形混合効果モデルを用いて解析した。[結果]eGFRの中央値(IQR)は術前が82.8(74.4-94.3)mL/min/1.73m2、術後36か月が53.2(47.4-61.7)mL/min/1.73m2で、減少率は64.3(59.5-70.9)%だった。組織学的所見は基底膜二重化が1.2%、間質線維化が7.3%、尿細管萎縮が51.2%、動脈内膜肥厚が61%、糸球体硬化率が7.0(4.2-12.5)%だった。移植時年齢、性別、高血圧の既往で調整した線形混合効果モデルではeGFRは移植時年齢上昇(β:-0.31,95%CI:-0.49 to -0.13,p=0.001)、糸球体硬化率増加(β:-0.31,95%CI:-0.52 to -0.09,p=0.008)とともに減少した。他の組織学的所見との間には有意な関連はなかった。[結語]0時間生検において糸球体硬化率が高いドナーでは術後腎機能低下が予測されるため長期的な経過観察を要する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s257_3 |