峡部厚13mmの馬蹄腎を腹腔鏡下に離断し採取し得た生体腎ドナーの1例
症例は53歳女性。夫への腎提供希望あり術前精査を施行したところ、造影CTで馬蹄腎を認めた。左右ともに腎動脈は3本、腎静脈は2本であった。点滴静注腎盂造影検査で腎盂・尿管は腹側に位置し、走行異常があるものの独立しており摘出可能と判断し、左腎をグラフトとした。右側臥位ジャックナイフ体位で、左季肋下・左下腹部に12mm portを挿入し、臍右側にGelport®を装着し、腹腔鏡下に手術を行った。峡部が厚さ13mm、幅43mmであったため、先に尿管及び腎動静脈を切離した。峡部に綿テープを巻きつけて可及的に圧縮し、ボール電極によるソフト凝固でさらに菲薄化させたうえでエンドGIA™トライステープル™ブラッ...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 57; no. Supplement; p. s287_1 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2022
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.57.Supplement_s287_1 |
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Summary: | 症例は53歳女性。夫への腎提供希望あり術前精査を施行したところ、造影CTで馬蹄腎を認めた。左右ともに腎動脈は3本、腎静脈は2本であった。点滴静注腎盂造影検査で腎盂・尿管は腹側に位置し、走行異常があるものの独立しており摘出可能と判断し、左腎をグラフトとした。右側臥位ジャックナイフ体位で、左季肋下・左下腹部に12mm portを挿入し、臍右側にGelport®を装着し、腹腔鏡下に手術を行った。峡部が厚さ13mm、幅43mmであったため、先に尿管及び腎動静脈を切離した。峡部に綿テープを巻きつけて可及的に圧縮し、ボール電極によるソフト凝固でさらに菲薄化させたうえでエンドGIA™トライステープル™ブラックカートリッジを用いて離断した。断端はボール電極によるソフト凝固、組織接着用シートで止血し、閉創した。手術時間は234分、出血量は90mlであった。術後はドナー・レシピエントともに尿漏など合併症なく経過し、ともに術後14日目に退院とした。現在術後約5か月になるが、両者とも安定して経過している。馬蹄腎ドナーからの生体腎移植に関する報告は少ない。今回我々は峡部が厚かったにもかかわらず、鏡視下に腎採取術を施行し得た1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.57.Supplement_s287_1 |