腎移植後PTLDに対してリツキシマブによるB細胞除去療法を実施したレシピエントにおけるCOVID-19の治療経験

【はじめに】腎移植を含む固形臓器移植後のPTLD発症はまれではなく、進行度によりいくつかの治療法が選択されるが、抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ)の単独または化学療法薬との組み合わせによるB細胞除去療法は一般的である。治療後のSARS-CoV-2感染後重症化リスクは増大し、一般集団に対して予後不良であるとされている。【症例】53歳男性43歳時に生体腎移植を施行。翌年PTLDを発症し、リツキシマブ、R-CHOP、CHASERと3コース行い寛解を得る。49歳から低ガンマグロブリン血症となる。プレドニン10mg/dayで維持となる。2023年1月上旬、発熱あり、SARS-CoV-2核酸増幅...

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Published in移植 Vol. 58; no. Supplement; p. s271_1
Main Authors 鈴木, 一史, 青山, 博道, 西郷, 健一, 田島, 進, 橋詰, 亮, 村山, 尚子, 伊藤, 舞香, 岡住, 慎一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
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Summary:【はじめに】腎移植を含む固形臓器移植後のPTLD発症はまれではなく、進行度によりいくつかの治療法が選択されるが、抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ)の単独または化学療法薬との組み合わせによるB細胞除去療法は一般的である。治療後のSARS-CoV-2感染後重症化リスクは増大し、一般集団に対して予後不良であるとされている。【症例】53歳男性43歳時に生体腎移植を施行。翌年PTLDを発症し、リツキシマブ、R-CHOP、CHASERと3コース行い寛解を得る。49歳から低ガンマグロブリン血症となる。プレドニン10mg/dayで維持となる。2023年1月上旬、発熱あり、SARS-CoV-2核酸増幅法で陽性となる。外来にて経過観察、第14病日に全身倦怠感高度にて入院、胸部CTで両側肺野にすりガラス様陰影を認めた。レムデシベル投与開始、二次感染予防目的に、アジスロマイシンなどを投与した。入院翌日から酸素需要が発生したが、ステロイド、トシリズマブの投与は行わなかった。グロブリン10gを2回投与した。第22病日に酸素需要が消失し、第29病日に軽快退院した。【考察】B細胞除去療法後の患者に対しては、ウイルスのクリアランスが不良であることが予想され、抗ウイルス薬をなるべく早期から、充分な期間投与しつつ、過剰な免疫抑制を防ぐために、ステロイド、トシリズマブの投与は慎重にすべきである可能性がある。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s271_1