生体腎移植レシピエントにおけるドナー由来セルフリーDNAの抗体関連型拒絶に対する診断精度の検討
【目的】ドナー由来のセルフリーDNA(dd-cfDNA)量は移植片が障害を受けるとレシピエントの血中で上昇し、拒絶反応のバイオマーカーとして欧米諸国で報告されている。一方でアジア人および生体ドナー対象のコホート研究は限定的である。今回、生体腎移植レシピエントを対象としてdd-cfDNAの抗体関連型拒絶(ABMR)に対する診断能を検証することを目的とした。【方法】当院で生体腎移植を受けた25人を対象としてプロトコル移植腎生検の直前に採血でdd-cfDNAを測定し、dd-cfDNA量および割合と病理所見を評価した。dd-cfDNAの閾値はdd-cfDNA量 78 cp/mL、%dd-cfDNA 1...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s242_2 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
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ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s242_2 |
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Summary: | 【目的】ドナー由来のセルフリーDNA(dd-cfDNA)量は移植片が障害を受けるとレシピエントの血中で上昇し、拒絶反応のバイオマーカーとして欧米諸国で報告されている。一方でアジア人および生体ドナー対象のコホート研究は限定的である。今回、生体腎移植レシピエントを対象としてdd-cfDNAの抗体関連型拒絶(ABMR)に対する診断能を検証することを目的とした。【方法】当院で生体腎移植を受けた25人を対象としてプロトコル移植腎生検の直前に採血でdd-cfDNAを測定し、dd-cfDNA量および割合と病理所見を評価した。dd-cfDNAの閾値はdd-cfDNA量 78 cp/mL、%dd-cfDNA 1.0%とした。【成績】25例中3例がABMRの病理診断であった。dd-cfDNA量はABMR群で63.7±33.5 cp/mL、non-ABMR群で9.5±8.0 cp/mLでありABMR群で有意に高かった。一方で、%dd-cfDNAはABMR群で2.8±3.9%、non-ABMR群で0.3±0.2%で両者に有意差を認めなかった。dd-cfDNAのABMR診断に対する特異度は100%、陰性適中率は95.7%であった。3例のABMRのうち1例がdd-cfDNA 量 25 cp/mL、%dd-cfDNA 0.15%でありdd-cfDNAの上昇を認めなかったが、T細胞関連型拒絶(TCMR)とABMRのMixed rejectionでTCMR主体の病理所見であった。【結論】dd-cfDNAのABMRに対する診断精度は高く、不要なプロトコル移植腎生検を減らせる可能性がある。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s242_2 |