移植腎1時間生検における糸球体硬化率と術後1年時のドナーeGFRの検討
緒言:移植腎のもともとの糸球体数やその硬化率が、生体ドナーやレシピエントの術後腎機能に影響するため、今回、当院の生体ドナーにおいて、移植腎1時間生検における糸球体硬化率と術後1年時のドナーeGFRについて検討したので報告する。方法:2016年1月から2022年4月までに当院で生体腎移植を目的にドナー腎採取術を施行された生体腎移植ドナー120 例を対象とし、1年後の採血を当院で未施行であった症例を除外したうえで、患者背景、移植腎1時間生検における糸球体硬化率および術後1年時のドナーeGFRと改善率につき後方視的に検討した。結果:対象は112例、手術時年齢中央値は56歳で、65歳以上の高齢ドナーを...
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Published in | Japanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s308_1 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本移植学会
2023
The Japan Society for Transplantation |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0578-7947 2188-0034 |
DOI | 10.11386/jst.58.Supplement_s308_1 |
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Summary: | 緒言:移植腎のもともとの糸球体数やその硬化率が、生体ドナーやレシピエントの術後腎機能に影響するため、今回、当院の生体ドナーにおいて、移植腎1時間生検における糸球体硬化率と術後1年時のドナーeGFRについて検討したので報告する。方法:2016年1月から2022年4月までに当院で生体腎移植を目的にドナー腎採取術を施行された生体腎移植ドナー120 例を対象とし、1年後の採血を当院で未施行であった症例を除外したうえで、患者背景、移植腎1時間生検における糸球体硬化率および術後1年時のドナーeGFRと改善率につき後方視的に検討した。結果:対象は112例、手術時年齢中央値は56歳で、65歳以上の高齢ドナーを29例認めた。移植腎1時間生検における糸球体硬化率は7.0%で、術前、術後1年のeGFRは、79.9と49.2で、予想されるeGFRからの改善率は26.8%であった(いずれも中央値)。65歳以上の高血圧症や高脂血症の合併例のみで、eGFR改善率が、20%を下回る症例をみとめ、糸球体硬化率が高い傾向がみられた。結論:65歳以上の高血圧症や高脂血症合併ドナーでは、術後1年時の改善率が乏しい傾向にあるため、注意して長期にわたるフォローが必要であると考えられた。 |
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ISSN: | 0578-7947 2188-0034 |
DOI: | 10.11386/jst.58.Supplement_s308_1 |