イムノグロブリンN型糖鎖プロファイルを基盤とした機械学習アプローチによる腎移植後の拒絶予測モデルの開発

当科では質量分析法による血清イムノグロブリン(Ig)に修飾されるN型糖鎖の網羅的解析による腎移植後の拒絶予測スコアの有用性を報告してきた。しかし、高コストで手技が煩雑であり、膨大な糖鎖定量データから予測結果の出力に時間を要するため、汎用性に欠けることが問題であった。この問題解決のため汎用性の高いキャピラリー電気泳動型N型糖鎖解析装置(Gly-Q)に注目し、機械学習プラットホーム(DataRobot)による糖鎖定量データ処理による迅速な拒絶予測モデルの構築を目指した。本研究では、5施設で生体腎移植を実施した160名の腎移植前の血清からIg分画を精製した。各患者の腎移植前Ig分画をGly-Qを用い...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s226_2
Main Authors 米山, 徹, 大山, 力, 藤田, 尚紀, 岩村, 大径, 柿崎, 育子, 田中, 壽和, 畠山, 真吾, 小玉, 寛健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s226_2

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Summary:当科では質量分析法による血清イムノグロブリン(Ig)に修飾されるN型糖鎖の網羅的解析による腎移植後の拒絶予測スコアの有用性を報告してきた。しかし、高コストで手技が煩雑であり、膨大な糖鎖定量データから予測結果の出力に時間を要するため、汎用性に欠けることが問題であった。この問題解決のため汎用性の高いキャピラリー電気泳動型N型糖鎖解析装置(Gly-Q)に注目し、機械学習プラットホーム(DataRobot)による糖鎖定量データ処理による迅速な拒絶予測モデルの構築を目指した。本研究では、5施設で生体腎移植を実施した160名の腎移植前の血清からIg分画を精製した。各患者の腎移植前Ig分画をGly-Qを用いて解析し、26種類のN型糖鎖濃度を定量した。次にDataRobotを用いて、移植後1年以内の拒絶の有無(拒絶あり群 52例、拒絶群102例)の2群に設定し、26種類のIg分画N型糖鎖濃度を投入して機械学習させ、複数の診断アルゴリズムからT細胞性拒絶(TCMR)予測、抗体関連性拒絶(ABMR)予測結果を算出した。TCMR予測スコアの予測精度は、AUC 0.53で予測精度があまり高くなかったが、ABMR予測スコアの予測精度はAUC 0.87と高値であった。腎移植前の血清Ig分画のN型糖鎖プロファイルは、腎移植前の脱感作状態を反映する可能性があり、腎移植後1年以内のABMRを高い精度で予測できる可能性が示唆された。
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s226_2