動脈硬化と肝臓内ナチュラルキラー細胞の抗腫瘍活性

背景:動脈硬化マウス(ApoE KO)モデルを使用した基礎実験で,動脈硬化の進展により肝内在性NK細胞(lr-NK)のTRAIL発現が低下し,動脈硬化と肝臓内抗腫瘍免疫との関連が示唆された.そこで,TRAILの可溶性受容体であるオステオプロテゲリン(OPG)に着目した.本研究の目的は,OPGがlr-NK細胞のTRAIL活性に与える影響を明らかにすることである. 方法:1. ApoE KOと野生型マウス(WT)を用いて,臓器別におけるOPG発現の違いを検討した.2. 各濃度(0, 100, 1000 ng/ml)OPGをlr-NK及びSplenic NK細胞と各々1時間共培養し,TRAIL活性に...

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Published inJapanese Journal of Transplantation Vol. 58; no. Supplement; p. s314_1
Main Authors 長ヶ原, 一也, 田中, 友加, 今岡, 祐輝, 大平, 真裕, 坂井, 寛, 黒田, 慎太郎, 別木, 智昭, 田原, 裕之, 佐藤, 沙希, 大段, 秀樹, 小林, 剛, 矢野, 琢也, 中野, 亮介, 井手, 健太郎, 今岡, 洸輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本移植学会 2023
The Japan Society for Transplantation
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ISSN0578-7947
2188-0034
DOI10.11386/jst.58.Supplement_s314_1

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Summary:背景:動脈硬化マウス(ApoE KO)モデルを使用した基礎実験で,動脈硬化の進展により肝内在性NK細胞(lr-NK)のTRAIL発現が低下し,動脈硬化と肝臓内抗腫瘍免疫との関連が示唆された.そこで,TRAILの可溶性受容体であるオステオプロテゲリン(OPG)に着目した.本研究の目的は,OPGがlr-NK細胞のTRAIL活性に与える影響を明らかにすることである. 方法:1. ApoE KOと野生型マウス(WT)を用いて,臓器別におけるOPG発現の違いを検討した.2. 各濃度(0, 100, 1000 ng/ml)OPGをlr-NK及びSplenic NK細胞と各々1時間共培養し,TRAIL活性に与える影響を評価した.3. WTマウスのLr-NK細胞に各濃度(0, 100, 1000 ng/ml)OPG を添加し,TRAIL-death 受容体(DR5)高発現の肝癌細胞株Hepa1-6及びDR5低発現の大腸癌株CMT93細胞に対する細胞傷害性を検討した. 結果:1. ApoE KOはWTと比較し,肝組織中及び大動脈中のOPG mRNA発現が上昇したが,その他の臓器では差はなかった.2.OPG濃度依存性にlr-NK細胞のTRAIL活性は漸減したが、Splenic NK細胞のTRAIL活性は変化しなかった.3.OPG濃度依存性にHepa1-6に対する細胞障害活性は低下したが,CMT93細胞に対する細胞傷害性活性は変化しなかった. 考察:動脈硬化の過程においてOPGは肝臓内特異的に高発現していた.OPGはTRAIL高発現NK細胞に対して,その機能を減弱させ,TRAIL-TRAIL deathシグナルを通じた肝臓内抗腫瘍効果の減弱に関与することが明らかとなった.
ISSN:0578-7947
2188-0034
DOI:10.11386/jst.58.Supplement_s314_1