有機物・高分子・ペプチド試料TOF-SIMSスペクトルの機械学習による予測・分類

飛行時間型二次イオン質量分析 (TOF-SIMS) は実測で得られる質量スペクトルが複雑で解釈が難しいため,TOF-SIMSデータの解析には主成分分析や多変量スペクトル分解などの多変量解析が用いられてきた.また,マトリックス効果などによってスペクトルパターンが変化するため,データベースの確立も難しい.本研究では,教師あり機械学習法による未知物質のスペクトル予測・ピーク同定を実現することを目的とし,未知物質の予測が可能となるデータ様式について検討した.教師あり学習に必要な試料情報を与えるラベルにSMILES記法によって文字列化した物質名の自動分割によって得られる化学構造を用いた.有機物・高分子・...

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Published inJournal of Surface Analysis Vol. 30; no. 1; pp. 15 - 27
Main Authors 井上, 元基, 家持, 圭佑, 林, 大介, 青柳, 里果, 小河, 重三郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 表面分析研究会 07.08.2023
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ISSN1341-1756
1347-8400
DOI10.1384/jsa.30.15

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Summary:飛行時間型二次イオン質量分析 (TOF-SIMS) は実測で得られる質量スペクトルが複雑で解釈が難しいため,TOF-SIMSデータの解析には主成分分析や多変量スペクトル分解などの多変量解析が用いられてきた.また,マトリックス効果などによってスペクトルパターンが変化するため,データベースの確立も難しい.本研究では,教師あり機械学習法による未知物質のスペクトル予測・ピーク同定を実現することを目的とし,未知物質の予測が可能となるデータ様式について検討した.教師あり学習に必要な試料情報を与えるラベルにSMILES記法によって文字列化した物質名の自動分割によって得られる化学構造を用いた.有機物・高分子・ペプチドから成るモデル試料のTOF-SIMSデータについて,ランダムフォレスト (Random Forest) による予測結果を評価した結果,自動分割した化学構造ラベルに基づいて正解率0.9以上で予測できることが示された.
ISSN:1341-1756
1347-8400
DOI:10.1384/jsa.30.15