エアロゾル療法における基礎的研究の歩み

吸入された粒子の気道への沈着は, 粒子の物理学的性質によるばかりでなく気道各部位の気流の状態などによっても決定される。空気力学的直径 (ADD) が5μm以上の粒子の沈着は慣性衝突により生ずる。慣性衝突によるエアロゾルの沈着はStokes数により決定される。 ADDが8μm以上のエアロゾル粒子の大部分は, とくに最も前方のいわゆる “nasal valve” の部位に沈着する。この部位は鼻軟骨で形成 (構築) されており, この部位の断面積は鼻腔の中で最も小さい。エアロゾル発生装置の鼻アダプターをnasal valve内に挿入することは鼻甲介や鼻道にエアロゾルの沈着を増加させることができるもの...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 41; no. Supplement1; pp. 45 - 49
Main Author 間島, 雄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.08.1998
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo1958.41.Supplement1_45

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Summary:吸入された粒子の気道への沈着は, 粒子の物理学的性質によるばかりでなく気道各部位の気流の状態などによっても決定される。空気力学的直径 (ADD) が5μm以上の粒子の沈着は慣性衝突により生ずる。慣性衝突によるエアロゾルの沈着はStokes数により決定される。 ADDが8μm以上のエアロゾル粒子の大部分は, とくに最も前方のいわゆる “nasal valve” の部位に沈着する。この部位は鼻軟骨で形成 (構築) されており, この部位の断面積は鼻腔の中で最も小さい。エアロゾル発生装置の鼻アダプターをnasal valve内に挿入することは鼻甲介や鼻道にエアロゾルの沈着を増加させることができるものと考えられる。 副鼻腔へのエアロゾルの沈着は圧勾配を鼻腔と副鼻腔の間に生じさせた場合にのみ生じる。大きな圧勾配とはValsalva法, Toynbee法, Polizer法をエアロゾル発生装置により生じた空気圧と合わせて施行することにより得ることができる。ADDが1~10μmの粒子は副鼻腔に沈着することが可能である。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo1958.41.Supplement1_45